日岡神社

日岡神社について

日岡神社（ひおかじんじゃ）は、兵庫県加古川市加古川町大野に位置する神社で、式内社として重要な存在です。過去の社格は郷社に分類されていました。この神社は、兵庫県南部に広がる加古川の左岸にあり、周囲の丘陵の南麓に建てられています。この丘陵は古くから「日岡」と呼ばれ、地名「加古」の由来にも関わる伝説が残されています。

日岡神社にまつわる信仰は、奈良時代の文献『播磨国風土記』にも記録されています。そこで言及されている「日岡の神」は、古代から地域の住民に信仰されてきた存在で、この神社で祀られている天伊佐佐比古命（あめのいささひこのみこと）は、安産の神として現在も広く崇敬されています。特に、播磨稲日大郎姫命（景行天皇皇后）との関連が伝えられており、安産祈願の神社として根強い人気を誇っています。

江戸時代には、加古川左岸の灌漑の命脈である五ヶ井用水の建設に日向明神（即ち日岡の神）と聖徳太子が関与したとの伝説が流布していました。この話は、1300年代から1310年代にかけて、真言律宗の僧侶文観房弘真による修築事業が伝説化されたものとする説が有力視されています。文観の祖父の中には日岡神社の神主であったとされる者もおり、信仰と地域の歴史が密接に絡み合っています。

祭神について

日岡神社では、現在主祭神として天伊佐佐比古命を祀っており、その配祀神には豊玉比売命、鸕鶿草葺不合命、天照皇大御神、市杵島比売命が含まれています。日岡神社の祭神には時代に応じた変遷があり、霊亀元年（715年）の『播磨国風土記』では大御津歯命の子である伊波都比古命が記されています。その後、延長5年（927年）成立の『延喜式』神名帳においては天伊佐佐比古神社として記されています。

これに伴い、日岡神社の名称が「日岡」としての重要性を持ち続けています。宝暦12年（1762年）の文献でも、正殿には玉依姫命や鸕鶿草葺不合命が記されており、やはり天伊佐佐比古命に戻されています。近年の社伝では、天伊佐佐比古命が播磨稲日大郎姫命の安産祈願を行ったとされ、この神社は「安産の神」としても知られています。

歴史的背景

日岡神社の創建時期については諸説ありますが、社伝によれば、神武天皇が東征の際に荒振神を退治し、その後に伊佐々辺命を祀ったことが由来とされています。また、天平2年（730年）に創建されたとも言われています。

境内は日岡山の南麓にあり、古墳時代の古墳群が存在します。その中でも日岡陵古墳は特に有名で、昔の文献には「褶墓」として言及されています。文献の確認ができるのは霊亀元年頃に記された『播磨国風土記』です。

本神社は、延長5年に成立した『延喜式』神名帳にも名を連ねていますが、1568年の兵火によって社殿や資料が焼失してしまいました。その後、昭和に入ってからも再建が行われ、現在の社殿は1971年に完成しました。

祭事について

日岡神社ではさまざまな祭事が行われています。毎月の月次祭に始まり、1月には歳旦祭や元始祭、1月15日のとんど祭があり、2月には初午祭や厄除祭などが執り行われます。特に亥巳籠は特別な神事で、安産祈願に基づいた伝承があります。また、10月には例祭があり、11月には七五三参りが行われることで、地域の人々とのつながりが深められています。

現地情報

日岡神社は兵庫県加古川市の加古川町大野字日岡山に位置し、アクセスはJR加古川線の日岡駅から徒歩約6分です。駐車場も完備されており、訪れる人々には便利です。周辺には日岡山古墳群もあり、歴史的な散策が楽しめます。

このように日岡神社は、古来からの信仰を受け継いでいるだけでなく、地域社会にとっても重要な役割を果たしています。地元住民から「日向さん」の愛称で親しまれているこの神社の魅力は、歴史や伝説、さらに地域との結びつきにあります。

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