日帝本国人

日帝本国人とは

日帝本国人（にっていほんごくじん）とは、日本の新左翼団体である東アジア反日武装戦線が用いた、日本人を指す呼称です。この言葉は「日本帝国主義の本国に住む人々」という意味を持ちます。

従来の左翼との違い

従来の左翼運動では、日本人を「日本人民」と呼んでいました。例えば、連合赤軍も、凄惨な内ゲバ事件を起こした一方で、「罪なき日本人民を傷つけてはならない」という考えから、あさま山荘事件で人質に危害を加えることはありませんでした。これは当時の左翼運動における基本的な考え方でした。

しかし、東アジア反日武装戦線は、日本人を「日本帝国主義」の担い手であり「犯罪民族」であると捉えました。彼らにとって「日本人民」という言葉は、日本人の「反革命性」を隠すための欺瞞的な用語に過ぎませんでした。彼らは、日本における労働運動自体も「反革命」と位置づけました。

東アジア反日武装戦線の思想

彼らの小冊子『腹腹時計』には、「日帝本国の労働者や市民は、植民地の人々と日常的に敵対する帝国主義者であり侵略者である」と記されています。彼らは、日本人は階級に関わらず「帝国主義者」であり、植民地の人々にとっての「寄生虫」であると断じました。そのため、日本人は革命の主体にはなりえないと考えました。ただし、例外として、自己否定を行い反日闘争の闘士となることで、革命の主体に転生できると説きました。

「日帝本国人」という概念の帰結

この思想に基づいて、東アジア反日武装戦線は、自己否定をしない日本人を「日帝本国人」と断罪しました。そして、彼らは三菱重工爆破事件をはじめとする連続企業爆破事件を起こし、8人の死者と376人の重軽傷者を出すという惨事を引き起こしました。彼らはこれらの無差別爆弾テロを正当化し、過激な活動を繰り広げたのです。

参考文献

東アジア反日武装戦線KF部隊 (準)『反日革命宣言 東アジア反日武装戦線の戦闘史』鹿砦社、1979年
谷口巌『アイヌ革命と太田竜』暁書房、1983年
黒川芳正『獄窓からのラブレター-反日革命への戦旅』新泉社、1985年
高沢皓司、佐長史朗、松村良一編『戦後革命運動事典』 新泉社、1985年
外山恒一『青いムーブメント ―まったく新しい80年代史―』彩流社、2008年
森口朗『なぜ日本の教育は間違うのか ～復興のための教育学～』扶桑社、2012年

関連項目

新左翼
反日亡国論
* 民族差別

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