祖阿

祖阿（そあ）

祖阿（生没年不詳）は、室町時代に活躍した僧侶であり、室町幕府の初期の遣明船において重要な役割を果たしました。特に、第1回遣明船の正使として知られています。

人物像

祖阿の出自や詳細な経歴は明らかになっていませんが、将軍に近侍する同朋衆の一員であったと考えられています。当時の幕府において、彼は足利義満の信任を得ていたことがうかがえます。

日明貿易への貢献

応永年間（1394年 - 1428年）の初め、博多の商人である肥富（こいとみ、こいつみ・こいずみとも）が明からの帰国後、室町幕府3代将軍・足利義満に対し、日明貿易の利益について説きました。当時の幕府は財政難に苦しんでおり、肥富の提案を受け入れる形で、1401年（応永8年）に祖阿を正使、肥富を副使として明に派遣し、鎖国状態にあった明との関係を打開しようとしました。この派遣は、日明間の関係を再構築する上で重要な第一歩となりました。

翌年には、祖阿は明からの使節である天倫道彝（てんりんどうい）・一庵一如を伴って帰国しました。この成果により、以降の遣明船の正使・副使は臨済宗の五山に関係する僧侶から選ばれることが慣例となりました。祖阿の功績が、その後の日明関係のあり方に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

異説

林屋辰三郎は、祖阿と『大乗院日記目録』応安7年12月7日に登場する「天竺聖」を同一人物とする説を提唱しています。また、田中健夫は「楠葉西忍の実父である素性不明の天竺人」と当該「天竺聖」を同一人物とする説を唱えた上で、林屋説（祖阿と「天竺聖」を同一人物とする説）とは矛盾しないとしています（田中健夫『東アジア通交圏と国際認識』吉川弘文館、1997年、P28）。

外部リンク

* 『祖阿』 - コトバンク

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