日本とアイルランドの関係

日本とアイルランドの関係は、両国間の外交、経済、文化など、多岐にわたる分野での交流を指します。両国は経済協力開発機構（OECD）の加盟国であり、国際社会において協力関係を築いています。

歴史的な繋がり

日本とアイルランドの接触は、18世紀初頭にまで遡ります。1704年、アイルランド人船員ロバート・ジャンセンが九州沖で捕らえられたのが、記録に残る最初の接触です。その後、1872年には、岩倉使節団がアイルランドのダブリンを訪問し、両国間の交流が始まりました。明治時代には、多くのアイランド人が日本に移住し、教育や文化の分野で活躍しました。

アイルランドの作家、ラフカディオ・ハーン（小泉八雲）は日本に帰化し、日本文化に関する著作を執筆しました。また、多くの修道女や司祭が来日し、教育や福祉活動に貢献しました。第二次世界大戦中には、日本に残ることを選んだアイルランド人もいました。戦時中、IRAのリーダーがダブリンの日本領事館を訪問し、日本軍の勝利を祝うなど、複雑な歴史の一面も存在します。

1957年3月、両国は正式に国交を樹立しました。アイルランドは日本にとって、東アジアで初めて国交を樹立した国となりました。その後、両国は首都に大使館を設置し、相互の外交関係を強化しました。1983年には、アイルランドの大統領が初めて日本を訪問し、1985年には日本の皇太子夫妻がアイルランドを訪問するなど、両国間の交流は高官レベルでも活発に行われています。

共通の価値観と国際協力

日本とアイルランドは、国際連合などの場で緊密に連携し、民主主義、人権、自由、正義、平和、法の支配、貧困撲滅といった共通の価値観を共有しています。両国は、これらの価値観に基づき、国際社会の平和と安定に貢献しています。

二国間関係の強化

両国間では、様々な二国間協定が締結されており、政治、経済、文化など、多岐にわたる分野での協力関係を強化しています。具体的には、所得税に関する二重課税の回避、ワーキングホリデー査証、社会保障に関する協定などが締結されています。また、両国民のための6ヶ月間の査証免除協定も存在し、両国間の交流が促進されています。

貿易と投資

2016年時点で、両国間の貿易総額は約6.9億米ドルに達しています。アイルランドからの主な輸出品は光学機器や医薬品であり、日本からの主な輸出品は医薬品や自動車です。日本からの対アイルランド投資は、ICT、製薬、ライフサイエンス、金融サービスなどの分野で行われています。アイルランドには約80社の日本企業が進出しており、日本には約32社のアイルランド企業が進出しています。2018年には、アイルランドを含むEUが日本との間で自由貿易協定を締結し、両国間の経済関係はさらに強化されると期待されています。

外交公館と名誉領事

現在、東京には駐日アイルランド大使館が、ダブリンには在アイルランド日本国大使館が設置されています。1959年には、菱栄株式会社の創業者である本田勇男氏がアイルランド政府から名誉領事に任命され、長年にわたり来日アイルランド人の支援活動に貢献しました。

今後の展望

日本とアイルランドは、過去の歴史を踏まえ、友好関係をさらに発展させることが期待されています。両国間の貿易、投資、文化交流は今後も活発に行われることが予想され、両国は国際社会における様々な課題に共同で取り組んでいくことが求められます。

高官の往来

両国間の高官レベルの往来は非常に活発です。以下は、主な高官の訪問記録です。

アイルランド高官の日本訪問

パトリック・ヒラリー大統領 (1983年、1989年、1990年)
チャールズ・ホーヒー首相 (1989年)
メアリー・ロビンソン大統領 (1995年)
バーティ・アハーン首相 (2004年)
メアリー・マッカリース大統領 (2005年)
ブライアン・カウエン首相 (2009年)
エンダ・ケニー首相 (2013年)
ミホル・マーティン首相 (2022年)

日本高官のアイルランド訪問

皇太子明仁親王、美智子皇太子妃 (1985年)
紀宮清子内親王 (2000年)
憲仁親王妃久子 (2003年、2017年)
明仁天皇、美智子皇后 (2005年)
安倍晋三内閣総理大臣 (2013年)

これらの訪問は、両国間の友好関係を象徴するものです。

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