日本とクウェートの関係

日本とクウェートは、1961年の外交関係樹立以来、長年にわたり友好な関係を築いてきました。両国は、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で協力関係を深めています。

歴史

外交史

1961年6月19日、クウェートがイギリスから独立すると、日本は直ちにクウェートを国家承認し、外交関係を樹立しました。翌1962年にはクウェートが東京に大使館を開設し、1963年には日本もクウェートに大使館を設置しました。当初、クウェート大使館は東京都港区南麻布の集合住宅に入居していましたが、1970年に現在の港区三田に移転しました。この大使館の建物は、日本人建築家の丹下健三氏が設計し、鹿島建設が施工したものです。

クウェート侵攻と湾岸戦争

1990年8月2日、イラクによるクウェート侵攻が勃発し、クウェートは一時的にイラクの傀儡政権下に置かれました。この事態に対し、日本は国連安全保障理事会の決議に先駆け、イラクに対する経済制裁を決定し、クウェートの併合を認めない立場を明確にしました。当時の海部俊樹政権は、中山太郎外務大臣による中東諸国への訪問や、小和田恆外務審議官によるイラクとの交渉を通じて、平和的な解決を目指しました。しかし、最終的にはアメリカ主導の多国籍軍による湾岸戦争へと発展しました。

日本は、湾岸戦争において130億ドルもの資金援助を行い、多国籍軍を支援しました。しかし、人的貢献を伴わなかったため、国際社会から批判も受けました。この経験から、国際平和協力法が制定され、自衛隊の海外派遣や集団的自衛権に関する議論が活発化しました。また、湾岸戦争終結後、クウェートはアメリカの主要新聞に感謝広告を掲載しましたが、資金援助を行った日本は含まれていませんでした。その後、自衛隊の掃海部隊を派遣したことで、日本も感謝を示す記念切手に加えられ、海外有事における人的貢献の重要性を認識する契機となりました。ただし、広告への掲載の有無と感謝の度合いは必ずしも一致せず、クウェート側の単純なミスという見方もあります。

1991年2月26日、クウェートはイラクから解放され、日本との国交も回復しました。湾岸戦争時の資金援助により、クウェートは親日国として知られるようになりました。

東日本大震災に対するクウェートの支援

2011年3月の東日本大震災では、クウェートのサバーハ首長をはじめとする要人が、天皇陛下（当時）や菅直人首相（当時）にお見舞いの書簡を送りました。また、クウェート政府は、日本に500万バレルの原油を無償供与し、被災地の復興支援に貢献しました。在日クウェート大使館も、被災地への支援物資の寄贈やチャリティーバザーの開催などを通じて、被災者支援を行いました。震災から1年後には、サバーハ首長が国賓として訪日し、天皇陛下との会見や総理大臣との会談を行いました。その際、アクアマリンふくしまや日本赤十字社への追加寄付を表明し、両国間の絆を深めました。アクアマリンふくしまには、クウェートからの支援に対する感謝の意を込めて「クウェート・ふくしま友好記念日本庭園」が整備されました。

要人往来

湾岸戦争終結後、1995年10月にジャービル首長がクウェート首長として初めて訪日しました。その後も、クウェート首相の訪日が頻繁に行われており、2004年にはザバーハ首相が小泉純一郎首相と、2008年にはナーセル首相が福田康夫首相と、2016年にはジャービル首相が安倍晋三首相と首脳会談を実施し、両国間の協力関係を強化してきました。また、日本側からは、2007年と2013年に安倍晋三首相がクウェートを訪問し、経済協力の拡大などについて意見交換を行っています。2013年の訪問では、日本の企業がクウェートの都市基盤整備に協力することが発表され、両国間の包括的なパートナーシップを強化するための共同声明が発表されました。

防衛協力

日本とクウェートは、安全保障面でも協力関係にあります。クウェートは日本にとって重要な石油供給国であり、ペルシャ湾の最奥に位置しているため、日本のシーレーン防衛において重要な拠点となります。2008年まで、航空自衛隊がクウェートの基地に駐留し、イラクにおける多国籍軍への給油や補給活動を支援していました。クウェートは湾岸戦争をきっかけにアメリカと事実上の同盟関係にあり、日本はアメリカを介してクウェートと緩やかな同盟関係を築いています。

経済交流

2020年のクウェートの対日貿易は、輸出額が4871億円、輸入額が1504億円であり、日本の大幅な赤字となっています。これは、日本がクウェートから石油を大量に輸入しているためです。クウェートは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールに次ぐ日本にとって4番目の石油輸入先です。一方、日本は自動車や鉄鋼製品をクウェートに輸出しています。また、日本からクウェートへの開発援助は、総額12億円に上りますが、クウェートはオイルマネーによる経済成長により先進国並みの所得水準を達成したため、1998年度以降はODAの対象から外れています。しかし、その後も、日本の企業がクウェートのインフラ整備プロジェクトを多数受注しており、経済面での協力関係は継続しています。

文化交流

在クウェート日本大使館は、日本文化紹介事業として、日本語スピーチコンテストや折り紙ワークショップ、日本映画の上映会などを開催しています。一方、日本では日本クウェイト協会が設立され、アラビア語教室の開催や情報誌の発行、周辺地域の情勢に関する講演会などを実施し、クウェート文化の紹介に努めています。2009年にはクウェートで「日本文化週間」が開催され、2011年には日・クウェート外交関係樹立50周年、2021年には60周年を迎え、両国間で記念事業が実施されました。

外交使節

駐クウェート日本大使

駐日クウェート大使

まとめ

日本とクウェートは、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で友好な関係を築いています。湾岸戦争や東日本大震災のような困難な時期においても、両国は相互に支援し合い、絆を深めてきました。今後も、両国は互いに協力し、より良い関係を築いていくことが期待されます。

もう一度検索