日本とサウジアラビアの関係

日本とサウジアラビアの関係は、1955年の国交樹立以来、両国間で様々な交流と協力が行われてきました。この記事では、両国関係の歴史的背景から、経済、文化交流、そして外交使節団の活動までを詳細に解説します。

歴史的背景

メッカ巡礼と初期の接触（1909-1945）

日本とサウジアラビアの交流は、イスラム教の聖地メッカへの巡礼から始まりました。1909年、山岡光太郎が日本人として初めてメッカ巡礼を行い、その後も数名の日本人が巡礼を経験しています。1938年には、サウジアラビアの駐英公使が東京のモスク開堂式に出席したことが、両国間の最初の公式接触となりました。翌1939年には、日本の駐エジプト公使がサウジアラビアを訪問し、初代国王と会見しましたが、この際の石油獲得交渉は不調に終わりました。

国交樹立と関係強化（1952-）

1953年、日本は経済使節団をサウジアラビアに派遣し、1955年には国交が樹立されました。これにより、日本は石油利権を獲得する足がかりを築きました。1957年には利権協定が締結され、1958年にはアラビア石油が設立されました。1960年にはサウジアラビアの交通相が日本を初訪問し、1971年にはファイサル国王が国賓として日本を訪問するなど、両国間の関係は強化されました。その後も、両国は皇族や政府関係者の相互訪問を重ね、友好関係を深めています。特に、1981年には皇太子明仁親王（当時）がサウジアラビアを訪問したことが、両国関係の進展を象徴する出来事として挙げられます。

1990年代以降も、両国間の交流は活発に行われました。1998年には、サウジアラビアの皇太子が日本を訪問し、人材育成、教育、環境などの分野での協力に関する共同声明に署名しました。2003年には、日本、サウジアラビア、エジプトの3カ国による「日アラブ対話フォーラム」が設立され、定期的な会合が開催されています。2011年の東日本大震災時には、サウジアラビアから多額の液化石油ガスが提供されるなど、両国間の協力関係は緊急時においても示されました。2017年には、サルマーン国王が46年ぶりに日本を訪問し、両国関係の重要性が再確認されました。

経済関係

貿易

日本とサウジアラビアの経済関係は、貿易を中心に非常に密接です。日本はサウジアラビアにとってアメリカに次ぐ第二の輸出相手国であり、サウジアラビアは日本にとって最大の原油供給国です。日本の主要輸入品は原油が大部分を占め、その他石油化学製品などが挙げられます。一方、日本からの主要輸出品は自動車を中心とした輸送用機器や電気機械機器です。2020年の貿易額は、日本からサウジアラビアへの輸出額が約4526億円、輸入額が約1兆9696億円と、輸入超過となっています。

経済協力

両国は1975年に経済技術協力協定を締結し、サウジアラビア・日本共同委員会を設立して、合意内容の履行を監視しています。2009年には航空協定、2011年には租税条約が締結されました。さらに、「日・サウジ・ビジョン2030」や「日・サウジ・ビジョン2.0」を通じて、経済協力関係を深化させています。

文化交流

交流イベント

1999年から「日・サウジアラビア青年交流計画」が開始され、両国の青年が毎年相互訪問を行っています。2005年には、国交樹立50周年を記念して、高等教育セミナーや生け花デモンストレーションなど、様々な記念事業が開催されました。2011年には、サウジアラビアの国民祭典であるジャナドリヤ祭に日本が主賓国として招待され、日本館には30万人以上が訪れました。

スポーツ

サウジアラビアでは、空手や柔道などの日本武道への関心が高く、全国大会も開催されています。在サウジアラビア日本大使館が主催する空手大会も毎年開催され、スポーツを通じた交流が進んでいます。また、競馬分野では、富士ステークスがサウジアラビアロイヤルカップと統合され、サウジアラビアの国王から優勝杯が寄贈されています。

テレビ番組

サウジアラビアのテレビ番組「ハワーティル」では、日本の生活や文化が紹介され、大きな反響を呼びました。特にシーズン5では、日本が特集され、「改善」というテーマで日本の文化が深く掘り下げられました。後継番組である「クムラ」も、両国間の相互理解促進に貢献しています。

外交使節

在サウジアラビア日本大使館

在サウジアラビア日本大使館は、両国間の外交関係を円滑にするための重要な役割を果たしています。リヤドにある大使館に加え、ジッダには総領事館も設置されています。

在日サウジアラビア大使館

一方、在日サウジアラビア大使館は、日本におけるサウジアラビアの利益を代表し、文化交流を促進する活動を行っています。また、大使館付属の文化センターであるアラブイスラーム学院は、日本におけるイスラム文化の理解を深めるための重要な拠点となっています。

教育

サウジアラビアには、リヤドとジッダに日本人学校が設置されており、現地の日本人子女の教育を支えています。

まとめ

日本とサウジアラビアの関係は、エネルギー資源の安定供給を基盤としつつ、経済、文化、教育など幅広い分野で緊密に協力し合っています。両国間の相互理解と協力は、今後ますます重要になっていくと考えられます。

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