日本とチャドの関係

日本とチャドの関係

日本とチャドの関係は、1960年8月にチャドがフランスから独立した際に日本が国家承認し、外交関係が樹立されたことに始まります。しかし、地理的な距離や歴史的な接点の少なさから、両国間の交流は限定的でした。チャド国内の情勢不安も、両国関係の発展を阻む要因となりました。

歴史

チャドは、国内のキリスト教徒とイスラム教徒の対立が根強く、政治的に不安定な状況が続いていました。そのため、日本はチャドに大使館を設置せず、在カメルーン日本国大使館が兼轄していました。チャド側も東京に大使館を設置せず、北京の在中国チャド大使館が日本を兼轄するという状況でした。2005年には、チャド東部のアベシェにスーダン難民支援のためのJICAフィールドオフィスが開設されましたが、治安悪化により2006年末に閉鎖されています。

1978年から1987年にかけてのチャド・リビア紛争では、トヨタ自動車のピックアップトラックが両軍で使用され、「トヨタ戦争」として知られるようになりました。

外交

21世紀に入り、両国間の外交関係は緊密化しました。要人往来が活発になり、スーダンや南スーダン情勢について連携した行動を取ることも少なくありません。2018年には、日本の外務副大臣が初めてチャドを訪問しました。一方、チャドからは2013年にイドリス・デビ大統領が初めて訪日し、安倍晋三首相との間で初の首脳会談が行われました。その後も、2016年のG7伊勢志摩サミットのアウトリーチ会合や、2019年のアフリカ開発会議など、両国間で要人往来が重ねられています。

経済協力

経済面では、2019年のチャドの対日貿易額は輸出0.22億円、輸入4.6億円と、チャドの赤字となっています。輸出品は植物性原材料や革製品、輸入品は医薬品や機械類が中心です。チャドの主要援助国は、旧宗主国のフランスやアメリカ合衆国などですが、日本も2017年までに70億円を超える経済援助を実施してきました。主な援助内容は、食糧援助や治安面での支援です。チャドは国土の大部分が砂漠であり、食糧不足に苦しむことが多いことから、日本は食糧援助を継続的に行ってきました。また、2019年には、チャドの治安対策のための無償資金協力に関する書簡が交換されました。

外交使節

現在、日本はチャドに大使館を設置しており、在チャド日本国大使館が両国関係の発展に貢献しています。

一方、チャドは日本に大使館を設置しておらず、駐日チャド大使は北京常駐となっています。歴代の駐日チャド大使は以下の通りです。

アドゥム・アガナイエ（北京常駐、1977年～）
乔纳・戈洛・马伊・里加扎（北京常駐）
イサ・アッバス・アリ（北京常駐、1989年以前～1991年）
エレナ・チウナ（北京常駐→常駐国未定、1992～2016年）
* アハメッド・スンギ（北京常駐、2016年～）

まとめ

日本とチャドの関係は、地理的な距離や歴史的な背景から、長く限定的なものでした。しかし、21世紀に入り、両国間の外交関係は緊密化し、経済協力も進んでいます。今後の両国関係のさらなる発展が期待されます。

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