日本とモルドバの関係

日本とモルドバの関係

日本とモルドバの関係は、1991年8月のモルドバの独立を契機に始まりました。日本は同年12月28日にモルドバを国家承認し、翌1992年3月16日には外交関係が開設されました。その後、両国は互いの首都に大使館を設置し、関係を深めています。

歴史

1991年8月、モルドバがソ連から独立したことを受け、日本は同年12月28日にモルドバを国家として承認しました。その翌年、1992年3月16日には両国間の外交関係が樹立されました。2015年12月8日には東京に駐日モルドバ大使館が開館し、2016年1月1日にはキシナウに在モルドバ日本国大使館が開館しました。

外交関係

モルドバはジョージア、ウクライナ、アゼルバイジャンとともに「民主主義と経済発展のための機構-GUAM」を結成しており、民主化の促進と市場経済による経済発展を目標としています。日本は「GUAM＋日本」という枠組みで、これらの国々との関係強化を図っています。会合を重ね、東欧地域との連携を模索しています。

要人往来

両国間の要人往来も活発です。2008年1月には、モルドバ外務・欧州統合大臣が訪日し、日本の外務大臣と会談しました。この会談で日本はモルドバの市場経済化を支援し、モルドバは日本の国連常任理事国入りを支持するという共同声明が発表されました。

2018年7月には、モルドバ外務・欧州統合大臣が再び訪日し、モルドバの欧州統合が不可逆的なものであることが確認されました。また、経団連との懇談ではモルドバの経済情勢やビジネス環境について説明が行われ、モルドバへの投資を呼びかけました。

2019年10月には、モルドバの大統領が初めて訪日し、即位礼正殿の儀に参列しました。さらに2022年9月には、モルドバの首相が訪日し、安倍晋三国葬儀に参列するとともに、日本の首相と首脳会談を行いました。

一方、日本からも要人がモルドバを訪問しています。2014年8月には外務大臣政務官がモルドバを訪問し、大統領や首相と会談を行い、モルドバへの支援について話し合いました。2015年9月には内閣総理大臣補佐官がモルドバを訪問し、首相などの要人と会談したほか、草の根無償案件の引渡式に参加しました。2016年9月には外務大臣政務官が再びモルドバを訪問し、首相や大統領と会談し、投資拡大などが話し合われました。

首都呼称の変更

日本は長年、モルドバの首都をロシア語読みに基づく「キシニョフ」と呼んでいましたが、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、ウクライナの都市呼称が変更された流れを受け、モルドバ国内での正式なルーマニア語読みである「キシナウ」に変更しました。この変更は、モルドバとの連帯を示すとともに、モルドバ政府からの要請を踏まえた総合的な判断によるものです。

経済交流

モルドバは市場経済化を進めている途上であり、日本は積極的に経済支援を実施しています。円借款事業として、2013年には医療サービス改善事業、2020年には農業機械・設備近代化事業が実施されました。また、無償資金協力として、農業機械化訓練センター機材整備計画、太陽光を利用したクリーンエネルギー導入計画、バイオマス燃料有効活用計画などが実施されています。

2019年の対モルドバ貿易は、日本の赤字となっています。日本からの輸出品目は機械類やゴム製品などが中心で、輸入品目は衣類や食料品などが中心です。モルドバは人件費が比較的安く、欧州連合との自由貿易協定を結んでいるため、欧州への輸出拠点としても注目されています。住友電工のドイツ子会社もモルドバに生産拠点を設置しています。

文化交流

在モルドバ日本国大使館では、日本人形展や生け花のデモンストレーションなどの日本文化を発信する活動が行われています。また、在日モルドバ人のアンドレイ・ポポフ氏は、静岡県立大学附属広域ヨーロッパ研究センターの客員研究員として活躍し、日本とモルドバの交流を促進しました。文化無償協力も積極的に行われており、2020年には国立図書館デジタル化機材整備計画が実施されました。

姉妹都市

長野県東御市は、モルドバのカフール市と姉妹都市提携を結んでいます。両市はワインとくるみが特産品であることが共通しており、2017年には東御市がモルドバのホストタウンとして登録されました。以来、両市間では交流が続いています。

外交使節

モルドバには日本大使が駐在しています。また、駐日モルドバ大使は、ヴァシレ・ブマコフ氏、アンナ・ヴァタマニュク氏（臨時代理大使）、タチアナ・メシテル＝バラン氏（臨時代理大使）を経て、現在はドゥミトル・ソコラン氏が務めています。

日本とモルドバの関係は、経済、文化、政治など多岐にわたり、今後も両国間の協力関係が発展していくことが期待されます。

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