日本とモロッコの関係

日本とモロッコの関係

日本とモロッコは、1956年の国交樹立以来、良好な関係を維持しています。両国は、政治、経済、文化など幅広い分野で協力関係を深めています。

歴史

日本とモロッコの接触は、19世紀後半のハサン1世の時代に始まったとされています。1938年には、日本がカサブランカに領事館を開設しました。第二次世界大戦後、1956年にモロッコがフランスから独立すると、日本は同年中にモロッコの独立を承認し、外交関係を樹立しました。1961年には、首都ラバトに在モロッコ日本国大使館が開設され、1965年には、駐日モロッコ大使館が開設されました。2016年には、国交樹立60周年を迎え、両国間で記念行事が行われました。

現状

両国関係は、モロッコ王室と日本の皇室間の交流が非常に活発です。1987年3月には、当時の王太子モハメッドが初めて日本を訪問し、両国の皇室・王室間の緊密な交流が始まりました。それ以降、両国の王族・皇族が相互に訪問を重ね、親善を深めています。

経済面では、日本はモロッコに対して、円借款供与や無償資金協力、技術協力などを実施しています。日本の基本方針は「バランスの取れた発展と中東・北アフリカ地域の安定化への貢献」であり、モロッコはアフリカにおける重要なパートナーの一つです。モロッコも、日本が過去に協力してきた漁業、道路保守、保健などの分野で、アフリカ諸国への協力を積極的に行っており、日本との友好関係を維持しています。2003年には、サブサハラ・アフリカ諸国に対する技術協力を推進するため、「アフリカにおける南南協力推進のための日・モロッコ三角技術協力計画」に関する枠組み文書が署名されました。モロッコにとって、日本はドイツ、フランスに次ぐ主要な援助国となっています。

貿易面では、モロッコから日本への輸出額は約1億5000万米ドルで、主な輸出品は魚介類（タコ、イカなど）、電子部品、燐鉱石関連、寒天です。一方、日本からモロッコへの輸入額は約2億5900万米ドルで、主な輸入品は乗用車、産業用車両、機械類です。貿易額はアフリカでも有数の規模であり、両国間の経済関係は非常に緊密です。モロッコはアフリカの中でも比較的経済的に豊かであり、アラブ諸国の一員でありながらイスラエルに対しても柔軟な姿勢を示していることから、ビジネス拠点としての潜在性も高く、日本からの直接投資も行われています。

西サハラ問題

モロッコが領有権を主張している西サハラについて、日本政府は西サハラを国家として承認していません。しかし、モロッコによる西サハラ併合も認めないという立場を取っています。この問題は、両国間の外交関係に大きな影響を与えてはいませんが、注意が必要な点です。

公式訪問

両国間では、皇族・王族、首相などによる公式訪問が頻繁に行われています。

日本の皇族によるモロッコ訪問
皇太子徳仁親王 (1991)
高円宮憲仁親王 (1996, 1999, 2000)
憲仁親王妃久子 (1996, 2000)

モロッコの王族、首相による日本訪問
国王ムハンマド6世 (1987, 1988, 2005)
王族ムーレイ・ラシード (1990, 2003, 2019)
王族ララ・アミナ王女 (2005)
王妃ラーラ・サルマ (2005)
首相アッバス・エル＝ファッシ (2008)
王族ララ・ハスナ王女 (2014, 2018)

これらの公式訪問は、両国間の友好関係を深める上で重要な役割を果たしています。

外交使節

両国間には、大使館が設置され、外交使節が派遣されています。過去には以下の方々が、駐日モロッコ大使を務めました。

アッ＝タイイブ・ッ＝サブティー（タイイブ・サブティー、1965～1969年）
ハサン・ハジュウィー（1969年～）
アブデルアジズ・ペンジェルーン（1980～1990年）
サアド・エッディン・タイブ（1990～1996年）
モハメッド・タンジ（1998～2003年）
アブデルカデル・ルシェヘブ（2003～2008年）
（臨時代理大使）ムスタファ・ジェバリ（2008～2009年）
サミール・アルール（2009～2016年）
モハメッド・ラシャッド・ブフラル（2016年～）

まとめ

日本とモロッコは、政治、経済、文化など幅広い分野で良好な関係を築いています。両国は今後も、相互の協力関係を強化し、国際社会における共通の課題に取り組んでいくと考えられます。両国関係は、アフリカとアジア間の架け橋として、今後ますます重要性を増していくでしょう。

もう一度検索