若宮大路

若宮大路について

若宮大路は、神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜（滑川交差点）から鶴岡八幡宮へと続く、全長約1.8kmの参道であり、鎌倉市の主要な通りとして知られています。現在は神奈川県道21号横浜鎌倉線の一部を構成しており、鶴岡八幡宮から相模湾の由比ヶ浜へと一直線に伸びています。

概要

若宮大路は、鶴岡八幡宮に向かって3つの鳥居が設置されており、由比ヶ浜側から順に「一の鳥居」「二の鳥居」「三の鳥居」と呼ばれています。特に二の鳥居から三の鳥居の間には、大路の中央部分が一段高くなった「段葛（だんかずら）」と呼ばれる歩道が設けられています。この段葛は、遠近法を利用して実際の距離よりも長く見えるように設計されており、二の鳥居から鶴岡八幡宮に向かって道幅が狭くなっています。

若宮大路は、1986年8月10日に「鎌倉幕府の遺跡」として「日本の道100選」に選定されており、歴史的な価値も高く評価されています。鶴岡八幡宮は、年始には約200万人の初詣客が訪れるほか、毎年9月16日には流鏑馬神事が行われるなど、年間を通して多くの観光客が訪れます。また、桜の名所としても有名で、沿道には土産物店などが数多く立ち並んでいます。

歴史

若宮大路は、源頼朝が鎌倉に幕府を開いた際に、都市計画の一環として造られました。寿永元年（1182年）に、京都の朱雀大路を参考に、妻・北条政子の安産を祈願して建設されたと伝えられています。当初、鶴岡八幡宮は由比ヶ浜の近くにありましたが、現在の北山の麓に移築され、由比ヶ浜と鶴岡八幡宮を結ぶ直線道路として若宮大路が整備されました。頼朝自身が造営を指揮し、北条義時などの武将も工事に携わったとされています。

発掘調査の結果、若宮大路の幅は鶴岡八幡宮の社頭から二の鳥居までの約500m区間で33mであったことがわかっています。段葛は、当初は一の鳥居まで1300mに渡って築かれましたが、地震や津波による破壊、JR横須賀線の開通による一部撤去を経て、現在では480mのみが残されています。大路の中央に段葛が設けられた独特の形状は、現在では鎌倉でのみ見ることができ、土木史上の貴重な遺跡としても重要な存在です。

1937年から1962年まで開催された鎌倉カーニバルでは、若宮大路を山車が練り歩くパレードが行われ、数十万人の観客を集めました。2016年からは、鎌倉市民カーニバルが過去のカーニバルをモチーフとしたパレードを若宮大路（鎌倉駅から由比ガ浜の区間）で開催しています。

路線状況

若宮大路は、由比ヶ浜側の滑川交差点から八幡宮交差点まで、全線にわたって2車線、両側歩道の街路として整備されています。段葛がある二の鳥居前交差点から八幡宮交差点の間は、段葛自体が車道の中央分離帯となっており、歩道として機能しています。また、一の鳥居も道路の中央分離帯として保護されています。

地理

若宮大路は、鎌倉市の中心市街地を南北に貫通しており、二の鳥居前は鎌倉駅にほど近い場所に位置しています。沿線近郊には自然と史跡が豊富で、鶴岡八幡宮や鎌倉大仏などの観光スポットを巡る人々で賑わっています。

交差する道路

若宮大路は以下の道路と交差しています。

国道134号（由比ガ浜4丁目 滑川交差点）
神奈川県道311号鎌倉葉山線（由比ガ浜2丁目/御成町4丁目 下馬交差点）
神奈川県道303号鎌倉停車場線（小町1丁目 鎌倉駅入口交差点）
神奈川県道204号金沢鎌倉線（金沢街道）（雪ノ下1丁目 八幡宮前交差点）

沿線施設

若宮大路沿いには、以下の施設があります。

鎌倉消防署（由比ガ浜4丁目）
鎌倉簡易裁判所（由比ガ浜2丁目）
一の鳥居（由比ガ浜2丁目）
鎌倉市立第一小学校（由比ガ浜2丁目）
鎌倉警察署（由比ガ浜2丁目）
鎌倉女学院高等学校（由比ガ浜2丁目）
鎌倉郵便局（小町1丁目）
JR横須賀線・江ノ島電鉄江ノ島電鉄線 鎌倉駅（小町1丁目）
二の鳥居（小町2丁目）
鶴岡八幡宮・三の鳥居（雪ノ下2丁目）

若宮大路が舞台となっている作品

音楽
「通りゃんせ」（サザンオールスターズ）

参考文献

武部健一『道路の日本史』中央公論新社〈中公新書〉、2015年5月25日。ISBN 978-4-12-102321-6。
「日本の道100選」研究会 著、国土交通省道路局（監修） 編『日本の道100選〈新版〉』ぎょうせい、2002年6月20日。ISBN 4-324-06810-0。

関連項目

鎌倉六大路
若宮大路幕府
神奈川県道21号横浜鎌倉線

外部リンク

鶴岡八幡宮
鎌倉市
鎌倉市観光協会

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