日本の黒幕

日本の黒幕

『日本の黒幕』（にほんのフィクサー）は、1979年に公開された日本の映画で、東映京都撮影所が製作し、東映が配給しました。この作品は、佐分利信が主演し、降旗康男が監督を務めました。英語タイトルには『日本のフィクサー』と表記されることもあります。

概要

本作は、1976年から注目を集めたロッキード事件を背景に、田中角栄と児玉誉士夫をモデルにしたストーリーが展開されます。日本の右翼団体と政財界の結びつきを描くことで、政治の裏側に潜む真実に迫っていきます。この映画は、1977年から1978年にかけて製作された『日本の首領シリーズ』に続く作品で、児玉を模したキャラクターがすでに登場していることからも、シリーズの延長線上にあると言えるでしょう。初めは大島渚が監督を担当する予定でしたが、脚本の最終段階で降板したため、降旗康男が監督に就任しました。また、多くの映画ファンに「日本の〇〇シリーズ」として知られる作品群の一部ともなっています。

あらすじ

物語は、一国の総理大臣と、その背後で政界と経済界を操るフィクサーの存在を中心に展開されます。このフィクサーは、不正な航空機売り込みの背後にも関与しており、外為法違反や脱税容疑で追求されます。彼の家族の異様な生活や、少年テロリストとの複雑な関係、関西ヤクザとの抗争を軸に、フィクサーの影響力とその実態が深く掘り下げられます。物語を通じて、日本の政治の裏側が暴かれ、力と権力の欲望が描かれます。

出演者

本作には、佐分利信が児玉誉士夫をモデルにしたフィクサー、山岡邦盟を演じ、松尾嘉代が山岡雅子を演じます。また、狩場勉、成田三樹夫、高橋悦史、梅宮辰夫など、多彩なキャストが揃い、物語に厚みを加えています。特に佐分利信は、この役で強い印象を与え、多くの観客に記憶される存在となりました。

制作背景

本作の制作は、日下部五朗プロデューサーが主管しており、大島渚を監督に招聘しました。大島は当初、政財界の腐敗を描いた権力告発のドラマを作りたいと考え、児玉誉士夫をモデルにして映画の企画が進められました。しかし、さまざまな要因から大島は降板し、降旗康男が新しい監督としてこの作品を手掛けることになりました。本作は、政治の内幕をテーマにしたヤクザ映画という新たな試みとして、多くの期待を寄せられていました。

評価と興行成績

映画の最大の注目点は大島監督であったため、監督交代の影響もあり、興行成績は期待したほど振るいませんでした。上映は本来の予定よりも短く、最終的には三週間で終了することとなりました。しかし、キャストの演技や物語の方向性は多くの観客に強い印象を残したとされています。また、この作品は、当時の東映のヤクザ映画の流れを新たに作り出す挑戦ともなり、政治と暗黒勢力の関係を深く探る試みとして評価されています。

まとめ

『日本の黒幕』は、ヤクザ映画の枠を超え、政治的なテーマを織り込んだ作品であり、その内容には多くの考察の余地があり、今なお多くのファンに支持されています。映画界におけるその位置付けは、今後も語り継がれることでしょう。

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