日本ビデオ販売

日本ビデオ販売：栄光と挫折のアダルトビデオ卸売企業

日本ビデオ販売は、かつてアダルトビデオを中心としたビデオの卸・販売を手がけ、フランチャイズチェーン「ビデオ安売王」を全国展開した企業です。創業者である佐藤太治氏のカリスマ性と、当時のビデオ市場の特性を巧みに捉えたビジネスモデルで急成長を遂げましたが、その裏には様々な問題が潜んでおり、短期間で崩壊へと向かいました。

ビデオ安売王の誕生と急成長

1993年9月、日本ビデオ販売はビデオ販売店「ビデオ安売王」のフランチャイズ展開を開始しました。当時、レンタルビデオ店が主流だったビデオ業界において、アダルトビデオのコピー商品や焼き直し商品を低価格で仕入れることができる点に着目。低価格販売という新たな戦略で、フランチャイズ加盟店を急速に増やしていきました。

最盛期には1000店舗を超える規模にまで成長し、「あなたは月給200万円もらっていますか？」といった刺激的な広告で世間の注目を集めました。

崩壊への序曲

しかし、急拡大の陰で、様々な問題が噴出します。

粗悪な商品: 加盟店への仕入れは日本ビデオ販売経由に限定されていましたが、その多くは過去の作品の焼き直しやコピー商品であり、品質は低いものでした。
杜撰な運営: 本部のデータに基づいた売れ筋商品の把握や、新作の迅速な納品といったバックアップ体制も不十分で、加盟店の不満が高まりました。
不適切な販売: ディズニー映画の「モックバスター」を輸入販売し、著作権侵害問題を引き起こしました。
警察の締め付け: ポルノ商品の取り扱いが中心であったため、警察当局の締め付けが厳しくなり、経営を圧迫しました。

これらの要因が重なり、日本ビデオ販売は資金繰りが悪化。不渡り手形を出すに至り、倒産という結末を迎えました。

独自のヒット作

しかし、日本ビデオ販売は、オリジナルビデオの制作にも力を入れており、中には以下のようなヒット作も存在しました。

『実録若奥様』 小田かおる主演、村西とおる監督
『全裸シリーズ』 （ソフト・オン・デマンド製作）
『おれが藤原だ！』 藤原喜明監督主演
『女子高生コンクリート詰め殺人事件 -壊れたセブンティーンたち』 北川悠仁（ゆず）主演、松村克弥監督

創業者 佐藤太治の波乱万丈な人生

日本ビデオ販売の創業者である佐藤太治氏は、20代の頃からガソリンスタンドの安売りで成功し、「石油の安売り王」として名を馳せました。しかし、石油の自主輸入を巡り通産省と対立し、挫折。その後、アダルトビデオ市場に参入し、日本ビデオ販売を設立しました。

倒産後は、シェアハウス事業などを展開しましたが、再び経営難に陥り、波乱万丈な人生を送っています。

ソフト・オン・デマンドとの関係

日本ビデオ販売は、ソフト・オン・デマンド（SOD）の成長にも深く関わっていました。当初は下請けメーカーに過ぎなかったSODですが、テリー伊藤氏が企画に加わった「全裸シリーズ」の大ヒットにより勢いを得ました。日本ビデオ販売の倒産後、SODは独自の路線を歩み、アダルトビデオ業界のトップメーカーへと成長しました。

高橋がなり氏は、安売王の功績として、セルビデオにおけるショップと人材が飛躍的に増加した点を指摘しています。

現在のビデオ安売王

日本ビデオ販売は倒産しましたが、「ビデオ安売王」の店舗は現在も各地に存在しています。ただし、いずれも個人オーナーによる独立経営であり、かつてのフランチャイズチェーンとは異なります。また、イメージダウンを懸念し、店名を変えた店舗も少なくありません。

まとめ

日本ビデオ販売は、アダルトビデオ市場の黎明期において、低価格販売という新たなビジネスモデルで一時代を築きました。しかし、粗悪な商品や杜撰な運営により、短期間で崩壊。創業者である佐藤太治氏の波乱万丈な人生とともに、その盛衰は、日本のビデオ業界における一つの教訓として語り継がれています。

2024年8月現在、自社ホームページ上に「ビデオ安売王のVHS買い取ります」との広告を出している。（アダルト作品は対象外）

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