日本ファンタジーノベル大賞

日本ファンタジーノベル大賞：日本のファンタジー文学を彩るコンテスト

日本ファンタジーノベル大賞は、1989年に創設された、未発表のファンタジー小説を対象とした文学賞です。プロ・アマチュアを問わず、幅広い層から応募を受け付けており、日本のファンタジー文学の発展に大きく貢献してきました。受賞作品は新潮社から出版され、多くの読者に愛されています。

大賞の歴史と変遷

この賞は、読売新聞東京本社と三井不動産販売の共同事業としてスタートしました。三井不動産販売の創業20周年を記念し、広告代理店各社からの企画提案の中から、読売広告社の「ファンタジーをテーマにした文学賞」案が採用されました。新潮社が出版を担い、大森望氏や木村由花氏といった編集者たちが初期の運営に携わりました。

三井不動産販売は10年間の主催の後、清水建設へと引き継がれ、第11回から第25回まで運営されました。この期間、大賞の賞金は500万円と高額で、多くの優れた作品を生み出しました。しかし、2013年度の第25回を以て、いったん休止となりました。

2017年、一般財団法人新潮文芸振興会と読売新聞社の主催で、賞はリニューアル再開されました。賞金は300万円に減額されましたが、新たな選考委員を迎えて、日本のファンタジー文学界を盛り上げ続けています。再開後は、以前の回数を引き継いでおらず、2017年度は「日本ファンタジーノベル大賞2017」という名称でスタートしました。

アニメ化への挑戦

日本テレビの協賛と三井不動産販売の番組スポンサーシップのもと、最初の2年間は受賞作品がアニメ化されました。酒見賢一氏の『後宮小説』を原作とした『雲のように風のように』、そして鈴木光司氏の『楽園』を原作とした『満ちてくる時のむこうに』が、日本テレビ系列で放送されました。アニメーション制作はスタジオぴえろが担当しました。

歴代の選考委員

選考委員には、常に日本の文学界を代表する著名な作家や批評家が名を連ねています。当初は手塚治虫氏を含む6名での審査が予定されていましたが、手塚氏の急逝により5名体制となりました。歴代の選考委員には、荒俣宏氏、安野光雅氏、井上ひさし氏、高橋源一郎氏、矢川澄子氏、椎名誠氏、鈴木光司氏、小谷真理氏、萩尾望都氏、恩田陸氏、森見登美彦氏、ヤマザキマリ氏などが含まれ、彼らの深い洞察力と幅広い知識が、大賞の質の高さを支えています。

受賞作品と新潮文庫

受賞作品以外にも、候補作や候補作家の作品が、新潮文庫の「ファンタジーノベル・シリーズ」として刊行されています。このシリーズには、岩本隆雄氏、武良竜彦氏、岡崎弘明氏、村上哲哉氏、加藤正和氏、菅浩江氏、流星香氏、小野不由美氏、広井王子氏といった多くの作家が名を連ね、シリーズを通して日本のファンタジー文学の多様性を示しています。中には、後に大きな成功を収めた作家も含まれています。

日本ファンタジーノベル大賞の意義

日本ファンタジーノベル大賞は、単なる文学賞にとどまらず、日本のファンタジー文学の発展に貢献する重要な役割を担ってきました。多くの才能ある作家を発掘し、優れた作品を世に送り出し、日本の文学シーンを豊かに彩っています。これからも、日本のファンタジー文学を牽引する存在として、その活動を期待されています。

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