小谷真理

小谷真理（こたに まり）は、1958年生まれの日本のSF・ファンタジー評論家です。彼女は、フェミニズムの視点からSFとファンタジーを分析する評論家として知られ、日本のSF・ファンタジー評論に新たな視点を導入しました。

評論活動

小谷真理は、SFとファンタジーをフェミニズム的観点から論じ、その分野にジェンダー視点を導入した先駆者の一人です。彼女の評論は、従来の男性中心的なSF・ファンタジー評論とは一線を画し、女性の視点やジェンダー問題を深く掘り下げています。特に、1994年に発表した『女性状無意識』は、日本SF大賞を受賞し、彼女の評論家としての地位を確立しました。

また、小谷は、自身の評論活動を通じて、SFやファンタジー作品におけるジェンダーバイアスや固定観念を批判し、より多様な表現の可能性を追求しました。彼女の評論は、SF・ファンタジー作品の解釈を深めるだけでなく、社会におけるジェンダー問題への意識を高める役割も果たしています。

経歴

富山県に生まれた小谷は、北里大学薬学部薬学科を卒業後、薬剤師として勤務していました。その後、SFファン活動を通じて、評論家の巽孝之と知り合い、結婚。1989年に評論家として独立し、本格的な評論活動を開始しました。1991年には、共訳書『サイボーグ・フェミニズム』でBABEL国際翻訳大賞・日本翻訳大賞思想部門を受賞するなど、翻訳家としても活躍しています。

2000年には、柏崎玲央奈、工藤央奈とともに「ジェンダーSF研究会」を設立し、SFにおけるジェンダー問題の研究を推進しました。また、日本ペンクラブ女性作家委員会委員長を務めるなど、社会的な活動にも積極的に参加しています。2021年には、SFファンダムでの活動が評価され、柴野拓美記念・日本SFファンダム賞を受賞しました。

人物

小谷真理は、映画監督の押井守のファンであり、特に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊|GHOST_IN_THE_SHELL___攻殻機動隊』を最も好きな作品として挙げています。また、1978年の日本SF大会で、コスプレを初めて披露した人物としても知られています。その際に、エドガー・ライス・バローズの『火星の秘密兵器』の表紙イラストを模倣した姿が、『海のトリトン』のコスプレと誤解され、それが日本のコスプレの起源の一つとして語られるようになったという逸話も持っています。

作品

小谷は、評論活動だけでなく、多くの著作を出版しています。主な著書には、『女性状無意識』、『聖母エヴァンゲリオン』、『ファンタジーの冒険』などがあり、SF・ファンタジーの批評だけでなく、自身の視点から社会や文化を考察した作品も発表しています。

その他

小谷は、選択的夫婦別姓制度の導入に賛同するなど、社会問題にも積極的に関わっています。また、自身のブログやSNSを通じて、積極的に情報発信を行っています。彼女の活動は、SF・ファンタジーの分野だけでなく、社会全体に大きな影響を与えています。

小谷真理は、SF・ファンタジー評論家として、ジェンダー視点を導入しただけでなく、翻訳家、SFファンダム活動家、社会活動家など、様々な側面を持つ人物です。彼女の評論は、SF・ファンタジー作品の理解を深めるだけでなく、社会におけるジェンダー問題に対する意識を高める上で、重要な役割を果たしています。また、彼女の幅広い活動は、SFファンやジェンダーに関心のある人々にとって、大きな刺激とインスピレーションを与え続けています。

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