日本中国学会

日本中国学会

日本中国学会（正式な会名は旧字体の日本中國學會）は、日本における中国学の研究を推進することを目的として、1949年に設立された主要な学術組織です。特に、中国哲学、中国文学、中国語学といった分野を中心的な対象としており、これらの研究における全国的な学会として活動を行っています。

組織

本学会の代表者は理事長が務めています。会員数は2019年10月時点で1500名を超える規模であり、日本国内の中国学研究者を広く網羅しています。入会を希望する際は、すでに本学会の会員である者からの紹介一名が必要となります。

沿革

本学会は、第二次世界大戦後の混乱期が落ち着き始めた1949年10月に設立されました。その設立に際して中心的な役割を担ったのは、同年1月に日本学術会議の初代会員となった倉石武四郎氏であり、加藤常賢氏らが設立準備や初期の運営に尽力しました。設立当初の会員数は246名でした。設立時、学会の名称について「日本中国学会」とするか「日本支那学会」とするかで議論がありましたが、多数決によって前者の名称が採用されました。

設立当初、本学会は重要な機能を担っていました。それは、当時の文部省（現在の文部科学省）から委託を受け、中国学関連分野における科学研究費助成事業（科研費）の配分審査を行うことでした。そのため、文部省や日本学術振興会が直接選出した委員による審査体制へと移行する1990年代頃までは、日本の当該分野の研究者のほとんどが本学会の会員であったとされています。1998年には創立50周年を記念し、『日本中国学会五十年史』および『日本中国学会創立五十年記念論文集』が刊行され、その歴史を振り返る機会となりました。また、1960年代末の大学紛争や文化大革命の影響が色濃い時期、および2006年などには、日本の中国学の将来や「衰退」といった喫緊の課題が学会全体で議論の俎上に載せられた時期も存在します。

主な活動内容

学会は年に一度、研究発表を主体とする学術大会を開催しています。この大会では、設立初期から研究分野ごとの部会が設けられており、現在では「哲学」部会（かつては「経学・思想」部会と呼ばれていた）、および「文学・語学」部会が中心となっています。加えて、2013年には「日本漢文」部会が、2022年には「史学」部会が常設されるなど、時代の要請や研究領域の拡大に応じて新たな部会が設置されています。大会によっては、分野別ではなく時代別に研究発表を編成した年も見られます。

また、学会は会員の研究活動を奨励するため、「日本中国学会賞」を毎年一回、優れた研究業績を上げた会員に授与しています。この賞の運営資金は、主に会員からの遺贈寄付などを基にした基金によって支えられています。

刊行物

本学会は、会員の研究成果を公開する場として、学会誌『日本中国学会報』を年に一回発行しています。この学会誌には、査読を経た研究論文が多数掲載されるほか、中国学界全体の研究動向や進展を概観する「学界展望」が収録されており、当該分野の研究者にとって重要な情報源となっています。

加えて、会員間の情報共有や連絡のために、会報『日本中国学会便り』を年に二回刊行しています。この会報は、2001年までは『日本中国学会会報』という名称でした。会報を通じて、大会の情報、受賞者、会員の動向などが伝えられます。

本学会の活動は、日本の中国学研究の発展と継承に重要な役割を果たしています。哲学部会は日本哲学系諸学会連合にも加盟しており、関連分野との連携も行われています。

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