日本共産党労働者派

日本共産党労働者派の歴史

日本共産党労働者派は1930年6月、水野成夫を中心に設立された、共産党の一つの分派です。この派閥は一般的に「解党派」として知られています。解党派は1933年頃まで活動を行いましたが、その活動内容や影響は非常に複雑でした。

背景と設立

日本共産党は、その初期段階においてさまざまな困難に直面していました。1928年に起こった三・一五事件によって多くの共産党員が検挙され、その中に水野成夫も含まれていました。水野は獄中で党の方針に疑問を抱き、1930年に「日本共産党脱党に際して党員諸君に」と題する手記を発表しました。この手記では、党の現状を批判し、特にコミンテルンに従った戦術の問題点を指摘しました。

彼は、政治的リアリズムに基づく新たな方針を模索する必要性を認識し、「日本の国情に適さない戦術」や「君主制廃止の急進的なスローガン」が問題であると主張しました。特に、君主制廃止という理念が日本の社会形態に適さないとし、その撤回を求めました。

このような考え方は、共産党内部の腐敗や、コミンテルンからの影響を受けた自身らの方針変更への反発から生まれたものです。水野の声明には、獄中にいた他の党員も賛同し、これが解党派の結成につながりました。

解党派の活動とその終焉

1930年に水野たち解党派は正式に「日本共産党労働者派」を結成し、独自の中央委員会を組織しました。また、機関誌として『赤旗』を発行し、社内での活動を展開しました。しかし、彼らの活動は党の幹部や多くの党員から反発を招き、「裏切り者」と見なされることが多かったため、支持を得ることができませんでした。

その後、武装メーデー事件によって、党はさらに厳しい状況に直面しました。中央の再建を目指すグループからの批判が強まり、多くのメンバーが自己批判を行って原党に復帰したため、解党派の活動資金も枯渇し、結果的に1933年に消滅しました。

政治的影響

解党派は、コミンテルンとの関係を断ち、君主制廃止を放棄することにより、後の日本の共産主義運動において重要な位置を占めることとなります。特に、彼らの方針は佐野学や鍋山貞親らの運動に影響を与えました。ただし、解党派は基本的にはコミンテルン第六回大会の決定を支持しており、日本の満州侵略戦争に関しても反対の立場を取っていた点で、後に展開された「一国社会主義」の考え方とは異なるものでした。

結論

日本共産党労働者派は、短期間の活動においても、当時の日本における共産主義運動に対して一定の影響を与えました。その活動の背景 や経過を理解することは、当時の政治状況や共産主義の発展を考える上で不可欠となります。今後もこのような歴史的な事象に対する研究が進むことが期待されます。

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