日本共産党（日本のこえ）

日本共産党と「日本のこえ」の歴史

日本共産党（以下、共産党）内での分裂から新たに成立した左翼政党「日本のこえ」について、その歴史的経緯を詳しく探ります。この政党は1964年に結成され、親ソ連・反中国共産党を掲げる重要な政治勢力となりました。以下では、結成の背景や経過、及びその後の影響について解説します。

結党の背景

1964年、日本のこえ同志会という名称で活動がスタートしました。この名称は、当時のソ連と中国の間に深刻な亀裂が生じていた中ソ論争に影響を受けたものです。ソ連は西側諸国との平和共存を掲げ、毛沢東が指導する中国との関係が悪化の一途をたどる中で、共産党の内部分裂が進行しました。志賀義雄などのメンバーは、ソ連の平和共存路線に賛同していましたが、共産党主流派の宮本顕治は、中国との友好を維持しようとしました。

「日本のこえ」の結成

共産党の内部対立は1964年の部分的核実験停止条約の批准に際して明確になりました。宮本主流派が批准に反対する中、志賀は賛成票を投じ、これにより党内での緊張が高まりました。最終的には、中央委員会が志賀と鈴木を除名し、その後志賀と同調した者たちが『日本のこえ』を創刊します。この新しい党派は、後に日本共産党との対立を深めることになります。

内部対立と衰退

「日本のこえ」の結成は、当初は成功したかのように思われましたが、徐々に内部対立が顕在化し、1967年以降は党勢が減少し始めます。志賀が選挙で落選した後、党内の分派が相次ぎ、元々の活動基盤が瓦解していきました。党派の改称も行われましたが、政治的影響力は著しく低下しました。1977年には「平和と社会主義全国委員会」と改名し、さらに1979年には日本共産党との関係修復により、影響力が一層失われました。これにより、「日本のこえ」は実質的に消滅に向かうこととなります。

他団体との関係

「日本のこえ」は他の団体、特に部落解放同盟と関係を持っていました。当初は共産党と協力していた部落解放同盟でしたが、志賀を支持する活動家の存在が党内の分裂を加速させました。彼らが共産党の方針から逸脱すると、解放同盟と共産党の間の緊張が高まりました。

さらに、民主主義学生同盟とも共闘関係にありましたが、ここでも時間の経過とともに分裂が生じたことで、その影響力も低下していきました。特に国内外の政治情勢の変化と共に、かつての支持基盤も失っていく様子が見られました。

結論

「日本のこえ」は、日本共産党内の分裂に起因して誕生した左翼政党であり、その後の日本の左翼運動において重要な役割を果たしました。しかし、内部分裂や外部との関係悪化に伴い、最終的には影響力を失い消滅の道を歩むこととなります。これらの出来事は、当時の政治的背景や国際情勢を反映しており、現在においても日本の政治史の中で貴重な教訓を提供しています。

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