日本創造学会

日本創造学会について

日本創造学会（にほんそうぞうがっかい、英称：Japan Creativity Society、略称：JCS）は、1979年10月20日に誕生した、創造性に関連する多岐にわたる分野を横断的に探求する学術団体です。日本学術会議の協力学術研究団体として認められており、アメリカの創造教育財団（CEF）に次いで、世界で二番目に設立された創造性研究者の団体としても知られています。

学会は、創造性とは文明の基盤に深く根差しており、すべての人類に備わった普遍的な能力であり、共通の課題であるという理念を持っています。この理念に基づき、あらゆる分野と方法論を創造的に結びつけることで、創造に関する研究と実践の育成・発展を図り、その成果を社会全体に広め、浸透させることを主な目的として活動しています。

沿革

日本創造学会の歩みは、その設立に先立つ1973年に発足した東京創造性懇話会に遡ります。この活動を経て、1976年には学会の前身によるものとして「創造性研究-創刊号」が刊行されました。

1979年、穐山貞登氏、上野一郎氏、河合隼雄氏、川喜田二郎氏、公文公氏、小松左京氏、多湖輝氏、立石一真氏、中山正和氏、西堀栄三郎氏、林雄二郎氏といった各界の著名な発起人たちが集結し、日本創造学会の設立が提唱されました。同年10月20日には創立総会と第一回研究大会が開催され、学会の活動が本格的にスタートしました。研究大会はその後、毎年秋に開催されるようになり、会場は原則として首都圏と地方が交互に選ばれています。この第一回大会を機に「研究集会論文集」が発行され、後に「研究大会論文集」と改称されて毎年刊行されています。

学会は定期的な情報発信にも力を入れ、1980年3月には会員向け情報誌である「ニューズレター」の第一号が発行され、以後、年間4回程度発行されています。また、1982年から1994年にかけては、学会初の研究会形式である「コロキューム」が約50回にわたり国内外で実施されました。この時期には、米国への調査団派遣や中国への訪問団実施など、国際交流も積極的に行われました。1983年から1994年にかけては、創造性に関する普及書シリーズ「創造性研究」全10号が共立出版より刊行され、研究成果の普及に貢献しました。

1990年には設立10周年を記念した講演集が、1996年には査読制度を持つ「論文誌（Journal of Japan Creativity Society）」が創刊され、以後毎年発行されています。2003年には論文誌論文賞と研究大会論文賞（現：研究大会発表賞）が創設され、研究活動の奨励が始まりました。

国際的な活動はその後も続き、2002年には中国で開催されたシンポジウムへの参加、2004年以降のアジア各地での国際会議（KICSS）共催、2005年の世界知識会議での講演などが行われました。国内では2004年に日経新聞との連携によるシンポジウム開催や記事連載、創造委員会結成などの活動も展開されました。

学会の運営面では、2006年に論文誌が国際管理番号ISSNを取得し、ホームページも情報発信型に刷新されました。同年発足の経営関連学会協議会にも参画しています。

2008年には著作賞が創設され、隔年で表彰が行われています。また、この年にはニューズレターが電子化され、電子メールによる配信に移行しました。創立30周年を迎え、記念誌「創造性研究のあゆみ」も刊行されました。会員向けの自由参加型研究会「創造性研究会」もこの頃始まり、2014年には「クリエイティブサロン」と改称され、一般市民にも参加が開かれ、講演会やワークショップが企画・運営されています。

学会の組織は拡大し、2016年には西日本支部が設立され、支部大会も開催されています。論文誌の質も向上し、2018年には電子書籍化され「J-STAGE」で公開されるなど、オープンアクセス化が進められました。この年には、世界各国の創造性関連学会と連携した「創造性国際会議」も共催で開催され、研究発表のテーマも従来の創造技法等から、イノベーションやアクティブラーニングといった現代的なテーマへと広がっています。2019年には、ドイツ創造学会より創造賞（CREO）を授与されるなど、国際的な評価も得ています。

主な活動と出版物

日本創造学会は、学術研究の推進と社会への普及のために様々な活動を展開しています。

研究大会:
毎年秋に開催される研究大会は、会員の研究成果や実践事例を発表・共有する重要な場です。原則として首都圏と地方で交互に開催され、全国の会員が参加しやすいよう配慮されています。また、2017年からは西日本支部による支部発表会も開催されています。

クリエイティブ・サロン:
概ね隔月で開催されるこのイベントは、創造性に関する知識やノウハウを会員だけでなく、広く一般市民にも紹介することを目的としています。通常、著名な講師による講演と、参加者が創造技法などを体験するワークショップの二部構成で行われます。

出版物:
学会の主要な出版物としては、査読付き論文を掲載する学術誌「日本創造学会論文誌」があります。2017年以降の論文はJ-STAGEにて公開されており、誰でもアクセス可能です。これ以前の論文については、学会事務局への問い合わせにより入手可能です。

その他、学会が編纂した『創造の理論と方法』をはじめとする普及書シリーズ（全10号）、創立30年記念誌『創造性研究のあゆみ』、さらに近年では『実例から学ぶ 創造技法』といった書籍を刊行し、創造性研究の成果を広く社会に発信しています。

会員向けには、学会の活動や関連情報を提供する「ニューズレター」が発行されています。

日本創造学会は、創造性という普遍的なテーマを通じて、学術研究の発展と社会貢献を目指し、国内外での活動を続けています。

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