日本労働組合全国評議会

日本労働組合全国評議会（全評）について

日本労働組合全国評議会（にほんろうどうくみあいぜんこくひょうぎかい）、通称全評は、戦前の日本に成立した労働組合のナショナルセンターです。全評は全国的な労働者運動の中核を成し、労働者の権利と利益を守るために活動しました。特に、当時の労働運動の中で独自の立場をとっていた全評は、労働者の声を届けるための重要な組織とされていました。

沿革

全評の起源は、1931年（昭和6年）に起こった満州事変に遡ります。満州事変以降、労働運動は右翼的な傾向を強め、労働者の中には不満を抱く人々が多くなりました。この背景の中、元労働者農民党の党員であり、労働運動家として知られる加藤勘十は、労働右派の松岡駒吉などと対立し、労働者のための統一を目指しました。こうした状況を受けて、1934年（昭和9年）11月18日に全評は結成されました。

結成当初、全評は6,600名の会員を抱え、加藤が委員長、田部井健次が書記長に就任しました。彼らは、労働者の権利を守り、反ファッショ統一戦線を結成することを目指しました。全評は、結成後すぐに独自の活動を展開し、労働者の声を組織化するための努力を続けました。

しかし、1937年（昭和12年）12月15日、人民戦線事件が発生しました。この事件は、政府によって左翼勢力が厳しく弾圧されるきっかけとなりました。その結果、全評と日本無産党は治安警察法に基づいて結社禁止処分を受け、組織は解散させられることとなりました。

全評の歴史的意義

全評は、戦前の日本における労働運動において重要な位置を占めていました。彼らの活動は、当時の社会的背景を考慮すると、労働者の権利を主張するための重要な手段でありました。このような運動があったことは、戦後の労働組合運動にも大きな影響を与えたと考えられています。全評の取り組みは、労働者意識の醸成や、社会運動全体の活性化につながり、歴史的な観点からも評価されています。

関連項目

全評の前身となる組織には、日本労働組合全国協議会（全協）があります。全協は共産党系の最左派ナショナルセンターとして知られており、全評の結成以前から活発に活動していました。このような背景も考慮すれば、全評が成立した意義がより一層明確になります。

また、全評に関する詳細な情報は、労働運動のデータが集約された『社会・労働運動大年表』や、百科事典マイペディアの「日本労働組合全国評議会」の項目などで確認することができます。これらの資料は、全評の活動内容やその時代背景を知る上で大変有意義です。

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