日本無産党

日本無産党について

日本無産党（にほんむさんとう）は、1937年に設立された労農派系の左翼社会主義政党です。この政党は日本における最後の無産政党と思われており、しばしば「日無党」と略されることもあります。

結成の背景

日本無産党の起源は1934年に遡ります。この年、元労働者農民党のメンバーであり労働運動家である加藤勘十が、日本労働組合全国評議会（全評）を設立したことが始まりです。1935年には、大阪で全労総同盟の合同運動が行われましたが、これは失敗に終わり、結果的に全評と日本労働組合総同盟の単独合同が実現しました。この時期、労働者や農民を中心とした反ファッショ統一戦線運動は引き続き活発でした。

1936年の初め、全評やいくつかの労働組合によって「労農無産協議会」が設立されました。この協議会は、協力し合って反ファッショの運動を推進することを目的としていました。1936年2月には、第19回衆議院議員総選挙で、全評の議長であった加藤が旧東京5区から立候補し、見事に当選しました。しかし、同年5月には社会大衆党との対立が激化し、協議会に参加していた一部の団体が脱退し始め、協議会が個人加盟の政治結社として再編成せざるを得なくなる事態も発生しました。

日本無産党の成立

そんな逆境の中で、加藤と鈴木茂三郎を中心に、日本無産党が設立されることになりました。1937年2月21日に反ファッショ戦線の拡大と林内閣の打倒を掲げた全国大会が開かれ、そこで協議会は日本無産党に改名されることが決定されたのです。大会には厳重な警戒態勢が敷かれ、会議中には参加者が検束されるなど、国家の弾圧の影がちらついていました。

この年の4月30日には, 第20回衆議院議員総選挙が行われ、日本無産党からも候補者が出馬しました。加藤は再び当選し、鈴木も別の選挙区で当選。党は「ファッショの撲滅」と「無産政治戦線の統一」を掲げ、懸命に活動を展開しました。8月には反戦運動の一環として出征兵士の家族救援に関する指令を発表するなど、果敢な取り組みを続けました。

終焉と影響

しかし、同年1月に発生した人民戦線事件は、党の活動に致命的な打撃を与えました。この事件では、多くの労農派の人物が逮捕されることとなり、日本無産党でも265名の党員が検挙される事態となりました。事件後すぐに治安警察法の適用があり、1937年12月22日に日本無産党と日本労働組合全国評議会は結社禁止処分を受け、わずか9カ月で党は解散に追い込まれました。これにより、明治時代から続いた無産政党の歴史は終焉を迎えました。

この党に参加していたメンバーは「旧日無系」と称され、戦後の日本社会党の左派の源流につながるとも言われています。日本無産党の活動とその後の影響は、日本の政治史において重要な位置を占めていることが分かります。

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