日本労働総同盟

日本労働総同盟の歴史

日本労働総同盟（にほんろうどうそうどうめい）は、戦前の日本に存在した労働組合の全国組織であり、略称は「総同盟」です。この組織の成り立ちや分裂、さらには戦争協力と解散に至るまでの経緯を振り返ります。

1. 友愛会から総同盟へ

日本労働総同盟は、1912年に鈴木文治らによって結成された「友愛会」から発展しました。当初は友愛会として活動していましたが、次第に左翼的な方向へシフトし、1919年8月には「大日本労働総同盟友愛会」に改称されました。これは、当時の社会情勢における労働者の権利向上を求める流れを反映したものでした。1921年には「日本労働総同盟」と名称を変更し、組織名の通り全国的な労働運動の中核としての地位を築いていきました。

2. 総同盟分裂の経緯

しかし、関東大震災後、組織内部で共産主義者と社会民主主義者の間に深刻な対立が生じました。この対立が顕著になった結果、総同盟は1925年に日本共産党の党員を除名し、同年に初めての分裂が起こりました。この分裂により、共産党系の労働組合は「日本労働組合評議会」を結成し、総同盟の組織力は大きく減少しました。

その後も、1926年と1929年にはそれぞれ第2次および第3次分裂が発生し、日本労働組合同盟や労働組合全国同盟といった新たな団体が設立されました。このような分裂の結果、総同盟は社会民主主義に基づく保守的な立場を鮮明にし、「現実主義」「反共主義」「労使協調主義」をスローガンとして掲げ、運動を展開していきました。

3. 組織の最大勢力化

1932年には、全国労働組合会議や日本海員組合など11団体、約28万人からなる「日本労働組合会議」が結成され、当時の労働運動における最大勢力となりました。また、同年に鈴木文治が長年の会長職を退き、その後衆議院議長に就任することになります。

4. 戦争協力と解散

1935年、「全国労働組合同盟」との統合に成功し、組織はさらなる発展を遂げましたが、1937年の日中戦争においては「聖戦に協力するためにストライキを絶滅させる」と発表し、日本の軍国主義を支える立場に立ちました。このような中で、左翼系労働組合は次第に弾圧されていき、組織も内部での力のバランスが変わることとなりました。

1939年7月には、「全国労働組合同盟」が分裂し、他の労働団体と共に産業報国会へ参加する流れが加速。最終的に1940年7月には、日本労働総同盟は自主解散を決定し、産業報国会に吸収される形で消滅しました。

5. 総括

日本労働総同盟は、労働運動の発展に寄与しながらも、内部の対立や外的な要因によって幾度も変遷を重ねました。戦争という背景の中での組織の立場の変化は、当時の日本社会と労働者の権利に対する意識の変化を示す重要な事例と言えるでしょう。

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