友愛会

友愛会：日本労働運動の源流

友愛会は、1912年（大正元年）に鈴木文治ら15名によって結成された労働者の相互扶助団体です。キリスト教の精神を基盤とし、渋沢栄一の支援も受けて設立されました。当初の目的は労働者間の相互扶助であり、現在の労働組合とは異なり、共済組合（フレンドリー・ソサイエティ）のような性格を持っていました。

設立と初期の活動

1912年8月1日に設立された友愛会は、機関紙『友愛新報』を創刊し、会員数を増やしていきました。当時の労働者の中には、任侠的な気質や浪費を好むといった価値観を持つ人々も存在し、社会から疎外される傾向にありました。友愛会は、労働者の地位向上のためには、まず労働者自身が刹那的な態度を改め、社会規範に則った生活を実践するべきであるという修養主義を提唱しました。

労働組合への変革

しかし、大戦景気の終焉とともに労働者の貧困が深刻化すると、個人の生活態度だけでは解決できない問題が浮上しました。友愛会は、第一次世界大戦中に増加した労働争議に関わる中で、その性格を変化させ、労働組合としての側面を強めていきました。1919年には大日本労働総同盟友愛会、1921年には日本労働総同盟と改称し、組織を拡大していきました。

年表

1914年9月：第1回協議会で、会費の増額、職業紹介部の設置、職業別組合の組織などを決定。
1915年4月：横浜支部と横浜海員部が連合発会式を開催。
1915年5月：鈴木会長が米国の排日運動緩和のため渡米。
1916年4月：最初の地方連合会である磐城連合会が結成。横浜・東京・神戸・大阪でも地方連合会が結成。
1916年4月：横浜海員支部の浜田国太郎が下級船員の賃上げを要求し、成功。
1916年6月：婦人部を設置。『友愛婦人』創刊。
1917年4月：創立5周年大会で、婦人も正会員とするなどを決定。
1917年5月：『社会改良』創刊。
1917年10月：秀英舎・日清印刷の印刷工が東京印刷工組合を結成。
1918年10月：東京鉄工組合創立総会。
1919年3月：治警法17条撤廃臨時集会を開催。地方支部で労働組合の公認・普選を要求する運動が活発化。
1919年4月：関西労働同盟会を結成。
1919年8月：7周年大会で大日本労働総同盟友愛会と改称。
1919年12月：日立連合会が壊滅。

その後の友愛会

友愛会は、その後、日本労働総同盟と改組し、戦後は全日本[[労働組合会議]]（全労会議）、全[[日本労働総同盟]]（同盟）を経て、現在の労働組合ナショナルセンターである日本労働組合総連合会（連合）へと繋がっています。

友愛会は、日本の労働運動の基礎を築いた重要な団体であり、その歴史は現代の労働運動にも影響を与え続けています。

関連人物・項目

松岡駒吉
日本の労働運動史

外部リンク

* 友愛労働歴史館

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