日本医史学会

日本医史学会は、医学の歴史を専門とする学術団体であり、その活動は多岐にわたります。

学会の目的と活動

この学会は、単に医学の歴史を研究するだけでなく、歯学、看護学、薬学など関連分野の歴史や、医療が社会や文化に与える影響についても幅広く探求しています。また、自然科学や生物学における医学の位置づけ、そして日本の伝統医療である漢方医学の歴史も重要な研究テーマとして扱っています。

主な活動としては、年次学術大会や月例会の開催、機関誌『日本医史学雑誌』の発行、医史学に関する優れた研究の表彰、医学史上の先人の顕彰などが挙げられます。これらの活動を通じて、医史学の研究と普及を促進し、国内外の関連学術団体との連携も積極的に行っています。

本部所在地

学会の事務局は、東京都千代田区の二松学舎大学九段4号館内に置かれています。

歴史

日本医史学会の歴史は、1892年に富士川游らによって設立された私立奨進医会に遡ります。この団体は、医学の先人の業績を讃え、医学道徳の向上を目指していました。当初は、3月4日を杉田玄白らの小塚原観臓の記念日として、先哲追薦会を開催し、総会を兼ねていました。

機関誌としては、「奨進医談」を発行していましたが、後に「中外医事新報」を継承し、医学界の最新情報や医道精神の啓蒙に努めました。

1915年には、奨進医会から医史部門が分立し、日本医師協会が発足しました。1927年には、奨進医会が日本医史学会と改称され、機関誌「中外医事新報」も医史専門誌としての編集方針に変更されました。1928年には、呉秀三が初代理事長に就任し、学会の基礎が築かれました。

戦時中には、機関誌の発行が中断されましたが、戦後、活動を再開し、1949年には関西支部も設立されました。1954年には、機関誌「日本医史学雑誌」が復刊し、現在に至っています。

学会の賞

日本医史学会は、医史学研究の奨励のために、以下の二つの賞を設けています。

富士川游学術奨励賞：優れた研究論文を表彰する賞。

矢数医史学賞：医史学研究において顕著な業績を上げた研究者や著作を表彰する賞。

これらの賞は、医史学研究の発展に大きく貢献しています。

出版物

日本医史学会は、以下の出版物を発行しています。

日本医史学雑誌（季刊）：学会の機関誌であり、医史学に関する最新の研究成果を掲載しています。
中外醫事新報（複製版）：学会の前身である奨進医会時代の機関誌の復刻版です。
日本医史学会所蔵先哲名醫肖像：学会が所蔵する医学史上の著名な医師たちの肖像集です。
図録日本医事文化史料集成：日本の医療文化に関する貴重な資料をまとめた図録です。
資料でみる近代日本医学のあけぼの：近代日本の医学発展の初期段階を資料で解説したものです。
日本医史学会会報：学会の活動や情報を会員に伝えるための会報です。

関連事項

日本医史学会は、医学、歯学、看護学、薬学、医療史などの分野と密接な関わりを持ち、また、医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、臨床検査技師など多くの医療従事者に関わっています。

また、精神医学史学会など、関連する学会との連携も重要視しています。

関連人物

日本医史学会の歴史に名を残す人物として、緒方富雄、呉秀三、小川鼎三、小曽戸洋、酒井シヅ、坂井建雄、新村拓、宗田一、中野操、富士川游、槇佐知子、松木明知、丸山克俊、真柳誠、ヴォルフガング・ミヒェル、矢数道明などが挙げられます。彼らは、医史学の研究や教育、学会運営に大きな貢献をしてきました。

外部リンク

より詳しい情報や学会の活動については、以下の公式サイトや関連サイトをご参照ください。

一般社団法人日本医史学会ホームページ
日本医学会ホームページ
日本医史学会関西支部
日本看護歴史学会
精神医学史学会ホームページ
日本科学史学会
中外医事新報（国立国会図書館）

参考文献

学会の歴史や活動についてより深く知りたい方は、以下の文献をご参照ください。

日本医史学会総会百回記念誌編纂委員会編『日本医史学会総会百回記念誌』日本医史学会、2000年

この詳細な解説を通して、日本医史学会の活動とその歴史への理解が深まることを願っています。

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