槇佐知子

槇佐知子（まき さちこ）

古典医学研究家、作家として知られる槇佐知子（1933年 - 2023年1月17日）は、日本医史学会会員としても活動しました。彼女は、日本最古の医学全書である『医心方』の研究と初の現代語訳に生涯を捧げました。

人物

静岡県に生まれた槇佐知子は、本名を杉山多加子といいました。1952年に相良高校を卒業後、武蔵野美術大学の通信制を中退しました。1974年より、『医心方』の研究と現代語訳に取り組みました。作家の瀧井孝作に師事し、彼の推薦により1976年から1978年にかけて『心』に小説を発表。その後は児童読物の執筆も行っていました。

1978年からは、『大同類聚方』の初の現代語訳にも着手。独学で現代語訳を続け、1985年に『全訳精解大同類聚方』を刊行しました。この功績により、1986年に菊池寛賞、1987年にエイボン功績賞を受賞しました。1991年から1997年まで筑波技術短期大学で講師を務め、後進の育成にも貢献しました。

1993年からは、『医心方全訳精解』全30巻の刊行をスタートさせ、2012年に完結。長年の研究成果が結実し、パピルス賞を受賞しました。2023年1月17日、老衰のため89歳で逝去。

著書

槇佐知子は、数多くの著書を執筆しました。以下に代表的な著書を挙げます。

『春のわかれ』偕成社 1979
『シャエの王女』偕成社 1981
『今昔物語と医術と呪術』築地書館 1984
『医心方の世界 古代の健康法をたずねて』自然社 1986／人文書院 1993
『日本昔話と古代医術』東京書籍 1989
『くすり歳時記　古医学の知恵に学ぶ』筑摩書房 1989
『食べものは医薬 「医心方」にみる四千年の知恵』筑摩書房 1992
『病から古代を解く 『大同類聚方』探索』新泉社 1992
『古代医学のこころ　『医心方』随想』日本放送出版協会 1993
『自然に医力あり 漢方に学ぶ』筑摩書房 1997
『日本の古代医術 光源氏が医者にかかるとき』文藝春秋 1999
『王朝医学のこころ 国宝『医心方』に学んで』四季社 2005
『『医心方』事始　日本最古の医学全書』藤原書店 2017

編訳

『医心方・養生篇 望月学訓読 現代語訳』出版科学総合研究所 1978
『日本最古の医学全書医心方にみる美容 王朝人の秘法』ポーラ文化研究所 1983
『大同類聚方 全訳精解』平凡社 1985
* 『医心方 全訳精解』筑摩書房、1993-2012

彼女の研究は、日本の医学史研究に大きな貢献をもたらしました。

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