日本在来馬

日本在来馬

日本在来馬とは、日本独自に残された馬の種類を指します。これには他の国から持ち込まれた洋種馬との交雑をほとんど行わず、純粋な形で今に至る8つの馬種が含まれます。これらの馬は、普段「在来馬」や「和種馬」とも呼ばれ、その特徴や文化的な背景は、日本の歴史や風土と密接に結びついています。

起源と歴史

日本在来馬の起源は古代に遡ります。具体的には古墳時代にモンゴル高原から朝鮮半島を経て国内に導入された蒙古系の馬、いわゆる蒙古馬がその基盤だとされています。この時、朝鮮からの馬の運搬は対馬を中継地とし、そこから九州本土まで運ばれました。この段階で国としての方針があり、軍馬及び家畜馬としての利用が目的でした。

最近の研究、例えば競走馬理化学研究所とネブラスカ大学によるDNA分析により、日本在来馬がモンゴルの馬を起源に持つことが明らかになりました。特に対州馬と野間馬を起点に、その後北上するグループ（木曽馬や北海道和種馬）と南下するグループ（御崎馬やトカラ馬）に分かれたことが分かっています。また、古墳時代の遺跡からは、馬に関する考古学的な証拠も多く発見されています。

文献と記録

歴史的な文献をみると、「日本書紀」を始めとする古文書において馬の存在が記されています。古代から馬は祭りや軍事行動に用いられ、6世紀には既に騎射などの技術が確立していたことが読み取れます。その後の時代でも、馬は貢物や軍事的な側面において重要な役割を果たしました。

現存する馬種

現在、純粋な形で残っている日本在来馬は以下の8つの馬種です。これらの馬は、それぞれ独自の特徴を持ち、地域ごとに飼育されています。馬種には、木曽馬やトカラ馬、御崎馬が含まれます。従来の農耕馬としても利用されており、特に中型馬が多く見られます。

日本在来馬は、明治時代に外来種との交雑が始まり、その多くは絶滅の危機に瀕しています。しかし、交通が不便な地域においては、比較的純粋な形で残っている馬群もあり、これらが今でも日本在来馬として認定されています。1980年代以降、農業や観光の分野での活用が進められています。

特徴と保護活動

日本在来馬は、体型や性格において特有の特徴を持っています。一般的に、全体的にはずんぐりした体型をしていて、食事に関しては、特に粗飼に耐性が高いと言われています。さらには、消化器官が発達しているため、野草のみでも育成できるとされています。このため、厳しい自然環境の中でも生き延びる力を持っているのです。

保護の現状

現代においては、日本在来馬の保存と活用が重要な課題となっています。8つの馬種はそれぞれ文化財として認定されており、日本馬事協会や地方の保存団体による保護活動が続けられていますが、その数は近年減少しています。1996年以降、特に北海道和種馬が多く保護されていますが、全体としてはおおよそ2400頭ほどです。

このような状況の中、純血種を守るだけでなく、それをどう活用していくかが求められています。日本在来馬は、歴史や文化を持つ日本の貴重な資源であり、これを大切にしていくことが今後の重要な課題です。

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