御崎馬

御崎馬の紹介

御崎馬（みさきうま）は、宮崎県串間市にある都井岬に生息する日本の在来馬の一種です。この馬は国の天然記念物に指定されており、日本の古来の馬文化を支える重要な存在として知られています。御崎馬は体高約130センチ、体重約300キログラムで、ポニーに分類されることからもわかるように、小柄なサイズが特徴です。しかし、そのがっしりとした体格と大きな頭部は、他の日本在来馬とも違った独特の印象を与えます。

特徴と生息環境

御崎馬の毛色には鹿毛、黒鹿毛、河原毛が多く、特に足首が黒いのが特徴です。さらに、背中には鰻線と呼ばれる濃い線が現れることが多いのも、この馬の注目ポイントです。御崎馬は300年以上にわたり、人間の管理をほとんど受けずに自然環境下で飼育されています。これにより、粗食にも耐える体質や、斜面にも適した強健な後躯を持つなど、都井岬の自然環境に調和した特質を保持しています。現在残る日本在来馬の中でも、半野生状態で生活している唯一の種です。

御崎馬は、1頭の牡馬とその数頭の牝馬、そして仔馬で構成されるハーレムで生活します。若い牡馬は独自に群れを作ることもあります。平均寿命は牡馬が約14年、牝馬が約16年程度で、牝馬は3歳で出産を始め、12歳を過ぎる頃まで約1年おきに平均5〜6頭を産むことが知られています。仔馬は1〜2歳で母馬から離れ、独立した生活を始めます。

歴史的な背景

御崎馬の最初の記録は江戸時代の1697年に遡ります。この年、高鍋藩の秋月家が都井村の御崎で馬の放牧を始めました。明治維新後の1874年には、地域の構成員による共同牧場として払い下げられました。その後、洋種馬の血統を取り入れる政策が行われ、御崎馬もその影響を受けました。しかし、純粋な血統を維持し続ける道を選び、他の日本在来馬とともに地元の文化と環境に適応してきました。特に戦後、農業の機械化により数が減少したものの、1953年には国の天然記念物として保護が始まり、以降は徐々にその数を回復しています。

現在では御崎馬は約120頭前後にまで増加し、観光資源としても重要視されています。彼らは柵で管理される都井岬全体の約500ヘクタールを生息域とし、1日に約40キログラムの草を食べて生活しています。調整や管理は行われていますが、馬を定期的に飼育することは避けられています。

伝染病の影響と管理

2011年には、馬伝染性貧血が発生し、厳しい管理が実施されました。このウイルス性の病気によって、一時的に数が減少しましたが、現在は再び回復を見せています。御崎馬の保護活動と観察は地域の有志によって行われており、健康診断や寄生虫駆除が定期的に実施されているほか、観光客が彼らを見学する際の注意事項が設けられています。

御崎馬の魅力は、自然と調和して生きる姿勢や独自の生態にあります。彼らを通じて、日本の伝統と自然の共生を感じることができる貴重な存在です。

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