日本大学皇道学院

日本大学皇道学院は、神道思想家である今泉定助が、日本大学内に設立した皇道に関する研究・教育機関です。その起源は、1930年代前半に当時の日本大学総長であった山岡萬之助が、今泉氏に大学での講義を依頼したことに遡ります。この要請に応じ、一般の聴講も可能な特別講座「皇道の本義」が開講されました。この講座が好評を博したことが契機となり、1937年6月には今泉氏を所長として、大学本部に皇道研究所が設置されました。

皇道研究所は、発足翌年の1938年に皇道講座を開設し、教育活動を開始しました。さらに1939年には、この講座が発展的に改組され、日本大学皇道学院として正式に開校しました。今泉定助氏が初代の院長に就任し、皇道思想の研究と教育の中核を担いました。皇道学院は、太平洋戦争中もその活動を継続し、今泉氏が1944年に逝去した後も、山岡萬之助氏の意向により、終戦を迎える1945年まで存続しました。

皇道学院は一年制の教育機関であり、その短い期間の中で、延べ1400人以上の学生が皇道に関する知識と理解を深めました。学院の教育内容は、当時の時代背景を反映し、国家神道や皇室に関する思想が中心であったと考えられます。

現在、日本大学内には、今泉氏の思想と業績を研究する「今泉研究所」が設置されており、皇道学院での研究や教育活動は、今日の研究にも影響を与えています。

皇道学院の主な出身者としては、彫刻家の小森邦夫氏や國井善弥氏、右翼活動家の児玉誉士夫氏、柔道家の尾形源治氏、写経研究家の橘千榮氏などが挙げられます。これらの卒業生たちは、それぞれの分野で活躍し、皇道学院での学びが彼らの人生に少なからず影響を与えたと考えられます。

日本大学皇道学院は、短い活動期間であったものの、当時の日本社会における皇道思想の影響力を示す重要な事例の一つであり、その歴史的意義は小さくありません。学院の設立から終焉までの過程は、当時の日本の政治、思想、教育の状況を理解する上で、貴重な資料と言えるでしょう。

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