日本山岳写真集団

日本山岳写真集団とは

日本山岳写真集団（にほんさんがくしゃしんしゅうだん）は、日本の山岳写真分野で活動するプロフェッショナルな写真家たちによって組織された権威ある団体です。この集団は、山岳写真の芸術性の追求と普及を目的とし、多岐にわたる活動を展開しています。

主な活動としては、メンバーの優れた作品を一堂に会する写真展の定期的な開催、山岳の魅力を捉えた写真集の企画・出版、専門誌や一般媒体への寄稿を通じた執筆活動などが挙げられます。また、フォトセミナーや講演会の実施を通じて、山岳写真の技術や表現方法、そして山岳そのものへの理解を深めるための教育普及活動にも力を入れています。

設立と初期メンバー

この集団は、1967年4月にその活動を開始しました。これは、当時の日本の山岳写真界において、プロフェッショナルな写真作家のみで構成された初めての試みであり、その後の山岳写真の発展に大きな影響を与えることとなります。

結成時の初期メンバーは、山岳写真界の第一線で活躍していた9名の写真家たちでした。中心的な存在であった三宅修氏が代表を務め、白簱史朗氏、山下喜一郎氏、小森康行氏、内田良平氏、横山宏氏、竹之原陽一郎氏、大塚大氏、川口邦雄氏といった錚々たる顔ぶれが名を連ねています。彼らの集結は、日本の山岳写真史における重要な一歩となりました。

近年の活動：写真展

日本山岳写真集団は、結成以来、精力的に作品発表の場を設けています。特に定期的に開催される写真展は、集団の活動を知る上で重要な機会です。

近年では、2014年11月5日から11月10日にかけて、リコーイメージングスクエア新宿（旧ペンタックスフォーラム）にて、第33回展「わが心の山」が開催されました。この展覧会には、当時の構成作家の中から8名が出展しました。出展者には、代表を務めた渡辺千昭氏をはじめ、内田良平氏、烏里烏沙氏、大関康史氏、熊澤正幸氏、高橋良行氏、三宅修氏、渡辺幸雄氏が名を連ねています。さらに、岩橋崇至氏もこの時点での集団の構成作家に含まれており、計9名体制であることが示唆されました。

続いて、2017年12月13日から12月18日には、同じくリコーイメージングスクエア新宿にて、第34回展が開催されました。この回も「わが心の山」をテーマとしつつ、「槍・穂高・剱岳」という特定の山域に焦点を当てた競作展という形式がとられました。この展覧会に出展したのは、岩橋崇至氏、内田良平氏、烏里烏沙氏、大関康史氏、熊澤正幸氏、高橋良行氏、三宅修氏、村田一朗氏、渡辺幸雄氏の9名でした。これらの写真展からは、集団に属する写真家たちの顔ぶれが時代と共に変化しつつも、日本の代表的な山域への深い愛情と探求心が一貫して受け継がれている様子がうかがえます。

集団と山岳写真の系譜

日本山岳写真集団の活動は、日本の山岳写真の歴史や系譜を語る上で欠かせないものです。集団メンバーやその活動に焦点を当てた出版物も刊行されており、山岳写真の発展に貢献した写真家たちの足跡を知る手がかりとなります。

例えば、東京都写真美術館が監修した『山を愛する写真家たち―日本山岳写真の系譜』は、日本の山岳写真における重要な流れを概観する上で参考になります。また、日本山岳写真集団自身も、創立20周年を記念して『北アルプス名山20』を山と渓谷社から出版しており、これは集団の記念碑的な業績を示す一冊と言えるでしょう。

このように、日本山岳写真集団は、半世紀以上にわたり、日本の山岳写真界を牽引する存在として、その芸術性の向上と文化的な普及に貢献し続けています。メンバーそれぞれの個性的な視点と表現を通じて、日本の雄大な自然、特に山岳の魅力を写真作品として後世に伝える重要な役割を担っています。

もう一度検索