日本歯周病学会認定歯科衛生士

この資格は、特定非営利活動法人日本歯周病学会が認定する、歯科衛生士のための専門的な認定制度です。正式名称は「日本歯周病学会認定歯科衛生士（にほんししゅうびょうがっかいにんていしかえいせいし）」と称されます。

概要

私たちの口の健康を脅かす主な疾患として、むし歯（う蝕）と歯周病が挙げられます。近年、公衆衛生の改善や歯学の進歩により、むし歯はかつてほど見られなくなりましたが、対照的に歯周病に悩む人は増えています。歯周病は進行すると歯を失う原因ともなり、全身の健康にも影響を及ぼすことが知られており、その専門的な予防と治療の重要性が高まっています。

こうした状況を受け、厚生労働省は歯周疾患を専門とする歯科医師の育成を推進し、日本歯周病学会では既に歯周病専門医の認定を行っています。歯周病の治療は非常に専門的な知識と高度な技術を要し、その長期的な管理には歯科医師だけでなく、歯科衛生士による継続的かつ専門的なケアが不可欠です。そのため、歯科医師による専門治療を効果的に支え、質の高い歯科医療を提供するためには、歯科衛生士にも同様の専門性と技術が求められるようになりました。このような背景から、歯周病の専門家である歯科医師（歯周病専門医など）と連携し、より高度な専門知識と技術をもって歯周病の予防、治療、メインテナンスを行う歯科衛生士を育成・認定する目的で、2005年（平成17年）にこの認定歯科衛生士資格制度がスタートしました。

この資格は、歯周病に関する深い理解と豊富な臨床経験に基づいた実践能力を証明するものであり、専門家としての継続的な研鑽を促すため、5年ごとに更新が必要な制度となっています。

資格要件

日本歯周病学会認定歯科衛生士の資格を取得するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

既に国の定める歯科衛生士資格を有していること。
歯周病学分野での研修および臨床経験を、通算で5年以上有していること。または、これと同等以上の経験があると日本歯周病学会に認められること。
日本歯周病学会が認定する研修会や学術大会などに参加し、申請時に規定された30単位以上を取得していること。
申請を行う時点で、特定非営利活動法人日本歯周病学会の正会員または準会員であること。

これらの要件を満たした上で、学会が実施する審査（書類審査、筆記試験、症例発表など）に合格することにより、認定資格が授与されます。

役割と重要性

日本歯周病学会認定歯科衛生士は、歯周病の専門家チームの一員として、以下のような重要な役割を担います。

歯周病の進行度や患者さんの状態に応じた、より専門的な口腔内診査やデータ収集。
歯周病治療における初期療法（プラーク・歯石除去など）や外科処置の補助。
患者さんの状態に合わせた専門的なブラッシング指導や生活習慣に関するアドバイス。
歯周病の再発を防ぐための継続的な専門的メインテナンス（PMTCなど）。

このように、認定歯科衛生士は歯周病専門医と緊密に連携し、科学的根拠に基づいた質の高い専門的なケアを提供することで、患者さんの歯周病の進行を抑制し、長期的な口腔健康の維持・向上に貢献する、日本の歯科医療において非常に重要な役割を担っています。

日本歯周病学会認定歯科衛生士