日本水電

日本水電株式会社の概要

日本水電株式会社（にっぽんすいでんかぶしきがいしゃ）は、大正から昭和戦前期にかけて存在した日本の電力会社です。九州電力送配電管内の事業者の一つであり、親会社は日本窒素肥料（後のチッソ）で、日窒コンツェルンの一員として機能していました。1918年に設立され、鹿児島県における電気供給に貢献しました。1942年には配電統制令により解散し、その事業は九州電力に譲渡されました。

沿革と発電所の建設

日本水電は、鹿児島県を流れる川内川の水力を活用して電力を生み出すために設立されました。創立総会は1918年11月5日に開かれ、資本金は200万円で初代社長には松方乙彦が就任しました。しかし、設立当初は第一次世界大戦後の資金不足に直面し、発電所の着工は遅れました。そのため、日本窒素肥料の支援を受けて経営を立て直し、資本金を300万円に増加させました。

新体制の元、日本水電は1924年に川内川の鶴田発電所の建設に着手し、出力4,384キロワットの発電を開始しました。これに続き、南九州水力電気や川内川電気などの周辺電力会社と次々に統合を行い、供給範囲を広げていきました。特に1924年の南九州水力電気の合併により、会社は急速に成長を遂げました。

ガス事業の兼営

日本水電は電力事業の他に、ガス供給事業も行っていました。鹿児島電気の経営が問題を抱えている間に、日本水電は1928年に鹿児島市内でのガス事業を買収し、電気・ガスの両事業を展開することになりました。しかし、鹿児島市内のガス需要は低下し、薪や炭に比べての競争に苦しむ時期もありました。それでも日本水電の努力により、ガス供給を行う世帯は徐々に増加しました。

電力国家管理と解散

1930年代後半、昭和恐慌の影響により需要が落ち込む中、1938年には電灯供給が回復し始めます。しかし、1941年に政府による電力管理法が成立し、電力会社は新設された日本発送電に出資することが求められました。日本水電はこの出資から外れるものの、配電統制令により九州配電に統合されることが決定されました。1942年4月水電会社は九州配電に出資した後、同年4月30日をもって解散しました。

年表

• - 1918年: 日本水電株式会社設立。
• - 1922年: 日本窒素肥料の傘下に入る。
• - 1924年: 鶴田発電所運転開始。
• - 1942年: 九州配電への出資後に解散。

業績と供給成績

日本水電は、主に鹿児島県に電力を供給していましたが、経済状況によって需要は常に変動していました。特に都市部では需要が安定しており、1941年には約5,000戸のガス需要家を抱えるまでに成長しました。

まとめ

日本水電株式会社は、地域における電力供給の重要な役割を果たしました。時代背景により困難な状況が続きましたが、地元の経済において大きな影響を与えた企業として歴史に名を残しています。実態的には電力業界の変革の波に飲み込まれ、解散という結果になったものの、その存在は地元鹿児島において記憶されています。

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