日本王代一覧

日本王代一覧

『日本王代一覧』は、1652年に林鵞峯によって編纂された全7巻から成る歴史書であり、日本の天皇の系譜を和文編年体で記述しています。この書は、日本の国史における重要な資料の一つであり、幕末期から明治時代にかけての学問的関心を大いに集めました。

書籍の成立背景

本書の背景には、林鵞峯の父、林羅山の影響があります。羅山は、幕府の命を受けて『本朝通鑑』の編纂に取り掛かりましたが、途中で亡くなってしまいました。その後、息子の鵞峯がこの業を引き継ぎ、寛文10年には前編と続編を合わせて3編310巻を完成させます。この過程の中で、1652年に酒井忠勝の依頼に応じて『日本王代一覧』が撰修され、寛文3年には全7巻が出版されました。その後も1795年と1802年には重刊され、広く読まれることになります。

内容と特色

『日本王代一覧』は、古代から近世にかけての天皇の系譜を詳しく記載しており、具体的には神武天皇から正親町天皇（1557年 - 1586年在位）までの歴史を取り扱っています。特筆すべきは、その書式です。本書は和文編年体で記述されており、平易な表現で構成されています。このため、当時の研究者や一般の人々にとっても理解しやすい資料となっていました。

外国語訳と国際的な影響

また、この書が特に注目された理由の一つには、平易な内容が挙げられます。そのため、国内外の研究者が関心を抱き、特にオランダの学者ケンペルは自著『日本誌』にこの書を引用しました。さらに、長崎の出島に常駐していたオランダ商館の長、イサーク・ティチングによってオランダ語やフランス語に翻訳され、執筆された内容は西洋における日本書籍の紹介の第一歩となりました。このように、元の日本語の形から、他国語へと翻訳されることで、『日本王代一覧』は国際的な影響力を持つこととなりました。

その後の展開

『日本王代一覧』の記述に続いて、107代後陽成天皇以降の歴史を扱う『続日本王代一覧』が編纂されました。これにより、より広範な天皇の系譜が網羅され、日本の歴史に対する理解がさらに深まることとなります。

参考文献

この書籍に対する研究や理解を深めるための資料として、藤原暹の「続日本王代一覧の研究」や小沢栄一の『近世史学思想史研究』などが挙げられます。これらの文献は、今後の研究の際にも非常に有用な資料となることでしょう。

以上のように、『日本王代一覧』は日本の歴史理解に欠かせない文献であり、その影響は当時に留まらず、現在においても関連する学問に多大な貢献をしています。

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