日本精密測器

日本精密測器株式会社（にほんせいみつそっき）は、群馬県渋川市に拠点を置く、医療機器および光学精密機器の専門メーカーです。特に、家庭用デジタル血圧計やパルスオキシメータの生産では、国内における主要企業の一つとして知られています。同社の強みは、製品の開発段階から製造、そして販売までを一貫して自社で行う体制にあります。

事業の中心は、高精度な測定技術を活かした血圧計や、血中酸素飽和度を測るパルスオキシメータなどの医療用電子機器です。これらの医療機器は、医療現場での使用はもちろん、自宅での健康管理用としても広く利用されています。また、医療機器分野で培った精密技術を応用し、国内外の監視カメラシステムに組み込まれる高性能なレンズ絞り「アイリス」も手がけています。

品質管理体制においては、国際的な基準を積極的に導入しています。1995年には、品質管理・保証システムの国際規格であるISO9001と、医療機器製造者に特化したEN46001（現在のISO13485に相当）の認証を取得し、製品の信頼性向上に努めてきました。さらに、環境負荷低減への取り組みとして、2005年には環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001の認証も取得しています。

製品開発においては、革新的な技術とデザインを追求しています。特にパルスオキシメータ分野では、新規参入ながらも高い評価を受け、2006年には「NISSEI OxiHeart OX-700」がグッドデザイン賞（中小企業庁長官賞）を受賞するなど、その品質と性能が認められています。現在では、国内の医療機関向けパルスオキシメータ市場において、トップクラスのシェアを獲得しています。また、同社のデジタル血圧計は、欧州高血圧学会（ESH）の臨床精度試験に適合するなど、国際的な基準を満たす製品開発を進めています。

近年も、新しいニーズに応える製品を次々と市場に投入しています。2015年には指先クリップ式のパルスオキシメータ「パルスフィット BO-750」を、2016年には皮膚赤外線体温計「サーモフレーズ MT-500」を発売しました。2018年には、独自の高精度脈波間隔測定システム「HiRS」を搭載した手首式デジタル血圧計を開発するなど、技術革新にも積極的です。

地域社会への貢献も評価されており、2017年には経済産業省により「地域未来牽引企業」に選定されています。加えて、2020年末からの新型コロナウイルス感染症の拡大時には、医療物資の緊急増産に協力し、その功績に対して経済産業省から感謝状を贈呈されるなど、社会的な責任も果たしています。

日本精密測器のルーツは、1950年に小型電気機器メーカーとして渋川市で創業したことに遡ります。同年9月に株式会社三橋電機製作所として設立され、1952年10月に現社名へと変更されました。本社機能は1999年5月に現在の場所へ移転しています。製品ラインナップの拡充としては、1987年に監視カメラ用リングアイリスの発売を開始しました。海外展開も進めており、2010年には中国に蘇州尼世精密儀器有限公司を設立しています。企業体制の変化としては、2022年11月には株式会社イシダのグループ企業となりました。

これまで、同社の製品はグッドデザイン賞を複数回受賞しており、パルスオキシメータや血圧計のデザイン性と機能性が高く評価されています。また、2004年度には中川威雄技術賞技術奨励賞を受賞するなど、技術力に関しても専門分野での評価を得ています。

長年にわたり培ってきた精密測定技術と、一貫した生産・品質管理体制を基盤に、日本精密測器株式会社は、人々の健康維持や生活の質の向上に貢献する製品を提供し続けています。今後も、医療機器および光学精密機器分野における技術開発と事業展開を通じて、社会に貢献していくことが期待されています。

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