日本統治時代の朝鮮におけるレコード会社

日本統治時代の朝鮮におけるレコード会社の歴史

日本の統治下にあった朝鮮半島では、レコード産業が形成され、多岐にわたる影響を与えました。特にオーケーレコードやタイヘイレコードなどの大手会社は、その活動を通じて音楽文化の発展に寄与しました。これらの会社は、当時の社会状況や文化的背景を反映した楽曲を多数生み出しました。

オーケーレコードの誕生と成果

オーケーレコードは、1933年に李哲によって設立されました。彼は日本の帝国蓄音機商会の京城支部長であり、朝鮮人として初めて独自のレコード会社を立ち上げました。「オーケー」という名称は、英語の「Okay」を和風に解釈したものです。オーケーレコードは他の大手会社に遅れること数年、特に大衆歌謡の分野で数多くの名曲を輩出しました。李哲は、その興行のセンスから「興行の奇才」とも称されました。

オーケーレコードが発表したヒット曲には、李蘭影の「木浦の涙」や南仁樹の「哀愁の小夜曲」があります。特にトロットという音楽ジャンルは、朝鮮において非常に人気を博し、多くの歌手たちによって愛唱されました。1944年、李哲が亡くなると経営は困難となり、1945年の終戦とともに会社は閉鎖されました。その後、大韓民国では同名の会社が再設立されました。

タイヘイレコードの成長と影響

タイヘイレコード、または「テピョンレコード」は、初期は小規模でしたが、1940年代初頭には急成長を遂げました。この成長の背景には、「旅人の悲しみ」のような大型ヒット曲の存在があります。また、オーケーレコードの作曲家朴是春や歌手南仁樹と対抗しうるライバルとして、李在鎬と白年雪のコンビが看板を飾りました。

さらに、タイヘイレコードからは「찔레꽃」（チルレコッ）の白蘭兒や「불효자는 웁니다」（不孝者は泣く）の秦芳男（半夜月）など、数多くのスター歌手が誕生しました。このように、タイヘイレコードは日本統治時代末期においても軍国歌謡を発表するなど、当時の文化的背景の中で重要な役割を果たしました。

シエロンレコードとリーガルレコードの動向

シエロンレコードは1931年から活動を開始し、申カナリアなどの人気歌手を輩出しました。特に南仁樹の「哀愁の小夜曲」は、本来シエロンレコードで「涙の海峡」として発売されたことが知られています。しかし、日中戦争の影響や競争の激化により、1940年代には活動が縮小し、日本統治の末期には存在が危ぶまれることとなりました。

一方、リーガルレコードはコロムビア・レコードの関連会社として、主に民謡を低価格で提供しました。任曙昉や申カナリアなどのアーティストが所属し、金セレナの歌唱で知られる新民謡「갑돌이와 갑순이」の原曲もリーガルレコードからリリースされました。これにより、低価格ながらも質の高いレコードを提供することで多くのリスナーに支持されました。

結論

日本統治時代の朝鮮におけるレコード会社は、当時の音楽シーンに大きな影響を与えました。オーケーレコードやタイヘイレコードは特にその名声を博し、多くのアーティストや楽曲を輩出しました。これらの会社の活動は、戦後の音楽文化にも引き継がれ、今なお人々の記憶に残っています。

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