日本製紙石巻工場

日本製紙石巻工場の概要

日本製紙石巻工場は、宮城県石巻市南光町に位置する日本製紙グループの製紙工場です。この工場は、臨海部に位置し、周囲には石巻港が広がっています。原材料である木材チップは、隣接する石巻港から陸揚げされ、工場での生産に使用されます。生産された製品は、西側にある仙石線の石巻港駅に接続する専用の線路を通じて出荷されるため、物流の面でも優れた立地条件を持っています。

この工場では、旧北上川から取り入れた工業用水を使用し、自家発電にはボイラー7基とタービン7機を駆使しています。生産設備としては、6台の抄紙機と2台の塗工機を配備し、塗工紙や微塗工紙、中質紙、書籍用紙、PPC用紙など、さまざまな印刷・情報用紙を年間約85万トン生産しています。特に、日本国内での書籍用紙の約40%はこの工場で製造されていることから、重要な役割を果たしています。

工場の歴史

日本製紙石巻工場は、1938年に設立された東北振興パルプ株式会社によって開設され、1940年12月には操業を開始しました。1968年には会社の合併により、十條製紙石巻工場となり、その後1993年に現在の名称へと変更されました。

東日本大震災の影響

2011年の東日本大震災では、工場は津波により大きな被害を受けました。地震発生時には、工場内に1306人の従業員がいましたが、全員が避難することができました。しかし、工場の1階は浸水し、出荷を待っていた製品が流出するという事態が発生しました。3月26日、社長の芳賀義雄が工場を訪れ、復興の決意を表明しました。

3月下旬からは、津波によって流入した土砂や瓦礫の撤去作業が始まり、他の工場から編成された復興支援チームの協力を受けながら復旧作業が進められました。その結果、震災からわずか半年後の9月16日には8号抄紙機の運転を再開し、順次と設備が復旧していきます。2012年3月には主力設備であるN6号抄紙機が再運転を果たし、続いて8月には他の抄紙機や塗工機も復旧しました。

硬式野球部の存在

日本製紙石巻工場は、社会人野球チームである日本製紙石巻硬式野球部の本拠地でもあり、スポーツ活動を通じて地域貢献を果たしています。

この工場は、長い歴史の中で地域社会に深く根ざした存在となっており、製品の生産だけではなく、地域復興やスポーツを通じたコミュニティの結束にも寄与しています。これからも、製紙業界での重要な役割を果たし続けることでしょう。

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