日本言語学オリンピック

日本言語学オリンピック（JOL）とは

日本言語学オリンピック（JOL）は、与えられた未知の言語データと日本語訳から、その言語の法則を解き明かす能力を競う大会です。この大会は、国際言語学オリンピック（IOL）およびアジア太平洋言語学オリンピック（APLO）への日本代表選手を選抜する予選としての役割も担っています。

大会の概要

競技内容

参加者は、音韻論、形態論、統語論、命数法、文字、比較言語学など、言語学の様々な分野から出題される問題に取り組みます。具体的には、未知の言語のデータと対応する日本語訳が与えられ、そこから言語の法則を導き出し、その法則に基づいて新たな語形を推測します。APLOやIOLとは異なり、導出した法則を文章や表で説明する必要はなく、未知の言語と日本語の間の翻訳のみが評価の対象となります。競技時間は2時間で、JOL公式サイト上のシステムを通じて4問から5問が出題されます。

歴史

IOLへの日本代表派遣は2012年のスロベニア大会が最初です。国内予選は2016年4月に「国際言語学オリンピック日本代表選抜筆記試験」として開始されました。2019年5月にはAPLOが初開催され、JOLがAPLO日本代表選抜も兼ねるようになりました。2020年からは大会名が「日本言語学オリンピック」となり、開催時期も12月末に移動しました。JOL2020は東京外国語大学で開催されましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でJOL2021からはオンライン開催となりました。また、この年から参加資格を問わない「競技参加枠」（後に「オープン枠」に改称）が設けられました。

組織

JOLは、特定非営利活動法人国際言語学オリンピック日本委員会が主催・運営し、日本言語学会が後援しています。他の科学オリンピックとは異なり、JOLは日本科学オリンピック委員会には含まれていません。

参加資格

JOLには「選抜枠」と「オープン枠」の2つの参加枠があります。

• - 選抜枠：IOL個人戦時点で20歳未満かつ大学教育を受けていない方が対象です。選抜枠の成績上位者はAPLOの日本代表に選ばれ、さらにAPLOでの上位8名はIOLの日本代表となります。
• - オープン枠：年齢や学歴を問わず、誰でも参加できます。

受験料は選抜枠・オープン枠ともに3000円で、収益は日本代表生徒の登録費などに使用されます。

大会成績

JOL

JOLでは、成績に応じて金賞、銀賞、銅賞、努力賞が授与されます。成績上位者はAPLOに招待されます。

APLO

APLOはアジア太平洋地域の生徒が参加する大会で、各国に会場が設置されます。日本、中国、香港、台湾、韓国、マレーシアなどが正規参加国です。APLOは、IOLに出場する日本代表8名を選ぶための実質的な二次予選として機能しており、各参加国の上位8名に賞が授与されます。

IOL

APLOで選抜された日本代表は、合同練習会を経てIOLに出場します。IOLでは、参加者の1/3から1/4程度にメダルが授与され、その内訳は概ね金:銀:銅=1:2:3となります。団体戦では上位3チームにメダルが授与されます。2021年現在、日本は61名、16チームが出場しており、最優秀解答賞やメダル、努力賞を獲得し、連続メダリストとして殿堂入りを果たした人もいます。

関連情報

関連項目

• - 国際言語学オリンピック：国際大会(本選)
• - アジア太平洋言語学オリンピック：地域予選(2次予選)
• - オンライン言語学オリンピック
• - 国際科学オリンピック

関連文献

• - 国際言語学オリンピック日本委員会『パズルで解く世界の言語: 言語学オリンピックへの招待』研究社、2023年

この書籍はJOLの作問委員が執筆した問題集で、JOL2021の問題と解説も収録されています。

外部リンク

• - 日本言語学オリンピック公式サイト)
• - 国際言語学オリンピック日本委員会広報Twitter
• - 国際言語学オリンピック日本委員会Instagram
• - ことはじ：有志による問題集
• - アジア太平洋言語学オリンピック

JOLは、言語の面白さを体験し、論理的思考力を高めることができる魅力的な大会です。ぜひ、挑戦してみてください。

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