日産・オースター

オースター (AUSTER)

オースターは、1977年から1990年まで日産自動車によって生産・販売された普通乗用車であり、バイオレットとスタンザという2台の姉妹車とともに登場しました。オースターは主にスポーティな若者向けの車として位置づけられており、そのデザインや機能は多様性に富んでいました。販売網は日産・チェリー店を通じて展開されました。

初代 A10型系 (1977年-1982年)

オースターの初代モデルは1977年5月20日に「バイオレット オースター」として登場しました。バイオレットがファミリーカー、スタンザが高級車としての位置づけであるのに対し、オースターは「若者向けのスポーティカー」としてマーケティングされました。ボディは4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ、5ドアバンの3種類が用意され、特にマルチクーペのボディカラーには魅惑的な赤が用意されました。

エンジンは自動車の排気性能基準に適応するように進化し、初期型の1,400ccおよび1,600ccエンジンが用意されていました。1978年のマイナーチェンジにより、モデル名が「日産・オースター」に変更され、エンジンも新たに適応されました。続く1979年6月には新たなGTシリーズが追加され、1,800ccエンジンが登場しましたが、1,400ccエンジンは廃止されました。

1982年10月には5ドアバンが販売終了し、オースターは役割を見直す時期を迎えました。このモデルは販売期間中に、累計25万1001台の新車登録台数を記録しました。

2代目 T11型系 (1981年-1985年)

1981年にはオースターの2代目モデルが登場し、先代とは異なり前輪駆動（FF）方式が採用されました。4ドアセダンと3ドアハッチバックが設定され、実用性とスポーツ性を兼ね備えたデザインが特徴でした。新しいエンジンも搭載され、様々な排気量に対応しました。1983年のマイナーチェンジでは、デザインが大きく変更され、より視覚的にシンプルな形状が追求されました。

3代目 T12型系 (1985年-1990年)

1985年には3代目オースターが再登場し、再びその名が使用されました。このモデルは、U11型ブルーバードを基に設計され、欧州や北米向けにも同様に展開されました。4ドアセダンに加え、翌年には5ドアハッチバックもラインアップに加わり、入手可能なエンジンタイプは多岐にわたりました。更なる進化として、特注仕様のエアロパーツや、電子制御サスペンションなども採用され、当時の新しい技術を反映した設計となりました。

1990年2月にはオースターの販売が終了し、その歴史に幕を下ろしました。累計で約15万2000台が生産され、次世代のセダンモデルであるプリメーラが事実上の後継車となりました。オースターという名前は「南の風」という意味を持ち、その存在は自動車業界において一つの影響を与えました。

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