日産・ガゼール
日産・ガゼール（Gazelle）
ガゼールは、日産自動車が1979年から1986年までの間に製造した乗用車で、同じ時期に生産されたシルビアの姉妹車として位置づけられています。北米やヨーロッパなど海外では「200SX」という名称で販売されましたが、日本国内では「ガゼール」として流通していました。
初代 S110型（1979年-1983年）
ガゼールの初代モデルであるS110型は、1979年の3月に発売され、そのキャッチコピーは「未来から大股でやって来た」というものでした。このモデルはシルビアと共通の構造を持ちながらも、販売店の顧客層に応じて高級感を重視した設計が特徴です。パーキングブレーキレバーのグリップには革を使用し、ディーラーオプションとして用意されたエンジンフードのグラフィックにもガゼールの名の由来となるカモシカをモチーフにしたデザインが採用されていました。価格においても、シルビアより5,000円高く設定されています。
外観の違いにも注目が必要で、ガゼールは横スリットのフロントグリルや独特のリアコンビランプを持ち、メッキパーツを多く使用していました。一方、シルビアは黒を基調とした外装デザインが特徴です。また、搭載されるエンジンはZ18/Z18E型の直4エンジンとZ20E型の直4エンジンで、合計6種類のグレードが設定されていました。1980年にはターボエンジンを搭載したモデルも登場し、更に1982年には4バルブDOHCエンジンを搭載したグレードも追加されました。
1983年には生産が日産自動車九州工場に移管され、新車登録台数はシルビアと合わせて16万2525台に達しました。また、1979年に放送されたドラマ『西部警察』では、特注されたガゼールのオープンカーが登場し、視聴者の記憶にも残っています。
2代目 S12型（1983年-1986年）
1983年8月には新しいS12型にフルモデルチェンジされ、ノッチバックとハッチバックの2つのボディスタイルが用意されました。特筆すべきは、センターピラーを採用した新しいクーペスタイルへの変更や、ワイパー付きのフルリトラクタブルヘッドライトの導入です。
エンジンラインナップも強化され、1,800ccのキャブレターエンジンやターボエンジンに加え、2,000ccのターボエンジンも揃えられ、装備の面では世界初のパワーウーハーや、電動ガラスサンルーフなども採用されました。外観もシルビアとの違いがあり、フロントグリルが異なる他、テールランプのデザインも異なっています。
1986年2月にはシルビアのマイナーチェンジに伴い、ガゼールは販売終了を迎えました。登録台数は2万3086台に達し、モータースポーツの分野でも活躍を見せました。
車名の由来
ガゼールという名称は、アジアやアフリカに生息するカモシカの仲間に由来しています。これにより、高級感と運動性能を兼ね備えたイメージが強調されていました。
関連項目
ガゼールは、日産のスポーティなイメージを体現するモデルとして、今も多くのファンに記憶されています。
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