日産・ティーノ

ティーノ（TINO）

ティーノは日産自動車が開発し、製造した乗用車で、特にそのユニークな設計と多機能性が注目されています。この車両は、B15型サニーのプラットフォームであるMSプラットフォームを基にして作られており、そのために設計主任もB15サニーと同じです。

ティーノの一つの大きな特徴は、車幅が1,760mmまで拡大されている点で、これにより3ナンバー車のカテゴライズとなっています。また、トランスミッションはコラム式に採用され、前席はベンチシートスタイルを採用しています。これに加え、ハイブリッドカーとしての展開も想定されており、多数の二次電池を収容可能な二重底かつ高床式のデザインが採用されています。

車内は「5＋1コンセプト」を実現しており、前席に2人、後席には3人が座ることができます。また、後部座席はユーザーによって簡単に脱着可能で、座席を外せば広大なラゲッジスペースが確保される点も魅力です。フィアット・ムルティプラやホンダ・エディックスといった他のモデルもこれと似たコンセプトを持っていますが、ティーノはその独自性で際立っています。

エンジンについては、SR20DE型の直列4気筒DOHC 1,998ccエンジンにハイパーCVTを搭載したモデルや、リーンバーン仕様のQG18DE型直列4気筒DOHC 1,769ccのモデルが用意されており、両方ともコラムシフト方式です。海外仕様にはフロアシフトのみの設定があることも特筆されています。足回りは、フロントがストラット式、リアはマルチリンクビーム式で、優れたハンドリング性能を誇ります。特にその広い前輪トレッドと、B14型とB15型サニーと同じ2,535mmのホイールベースは、小回りが効き、軽快なハンドリングを実現しています。

ティーノは、2000年に限定100台のハイブリッド仕様が登場したことでも注目されました。その背景には、燃費改善が重要視されたことや、官公庁からの「荷物の積めるハイブリッドカー」のニーズがあったと言います。しかしながら、コストがかかる割には燃費の向上があまり見られず、このハイブリッド計画は失敗に終わりました。このため、ティーノ以降の日産のハイブリッドカーは2010年のフーガハイブリッドまでおあずけとなりました。

日産はティーノの生産を2003年に終了しましたが、ヨーロッパでは2006年まで生産が続けられていました。また、スペインでの生産を経て、ティーノは「アルメーラ・ティーノ」としても販売されており、国際的な市場でも評価されていました。

車名の「Tino」はスペイン語で「理性」や「判断の正しさ」の意味があり、ファミリー向けの親しみやすい車としてのイメージを表現しています。そのため、全ての年代に受け入れられるデザインと性能が魅力となっています。

ティーノはその特異なデザインや多機能性から、多くの自動車愛好者や一般ユーザーに愛されてきました。そのユニークな特徴を持つこの車は、日産自動車における重要なモデルとして記憶され続けることでしょう。

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