日産・バネット

バネット（VANETTE）

日産自動車が製造したバネットは、フルキャブオーバー型の商用車として広く知られています。主にライトバン、トラック、そして乗用車モデルである「コーチ」など多様なバリエーションを展開し、実用性とデザイン性を兼ね備えた一台です。この車両は1978年に初代モデルが登場し、1990年代まで続く長い歴史を持っています。

歴史とモデル展開

初代 C120型（1978年-1988年）

初代バネットは1978年11月に「サニーバネット/チェリーバネット」として発表されました。これは「サニーキャブ」及び「チェリーキャブ」の後継車種となり、バン・トラック・コーチの各モデルが設定されました。当初のモデルは、エンジンにA12型（1,200cc）やA14型（1,400cc）を搭載しており、商業用途向けのハイルーフ仕様や、より高い積載能力を誇るロングボディ車などがラインアップに加わっています。バネットの特徴的なデザインとして、左右のヘッドランプが一体感を持たせたデザインがあり、各モデル間で個別のエンブレムが付けられることによる差別化も図られていました。

1979年にはマイナーチェンジが行われ、さまざまな新モデルが追加されました。これには、コーチのハイルーフ車やロングボディ版が含まれ、さらにエンジンオプションも強化されました。1980年には「ダットサンバネット」というモデルも登場し、バリエーションが増えました。1981年にはディーゼルエンジンも追加され、商業車としての選択肢がさらになる拡大しました。

2代目 C22型（1985年-1994年）

1985年には2代目C22型が登場し、シャシーやエンジンが改良されました。このモデルは、より出力が向上したた新しいエンジンを採用し、乗用車モデルの「コーチ」やバネットラルゴも展開されました。特に、ワゴンやブローニイとの競合を意識したモデル展開が行われ、多様性が増しました。

3代目 SS/SE型（1994年-1999年）

マツダとのOEM契約により、1994年からはボンゴをベースにしたモデルも供給が開始されました。このモデルではバンやトラックとしての機能が強化されており、商用市場へのアプローチを強化しました。

4代目 SK型（1999年-2017年）

1999年には四代目フルモデルチェンジが行われ、内外装のデザイン変更やエンジンの電子制御化が図られました。このモデルは、安全性や快適性が向上し、運転支援技術も取り入れられました。

名の由来

「バネット」の名前は、「VAN」と「小さな、可愛い」といった意味を持つ「ETTE」が組み合わされたものです。これは、商用車としての機能性だけでなく、より親しみやすい印象を与えることを目指して名付けられました。

現在の状況

2017年をもって、バネットはその39年間の歴史を終えることになりましたが、これまでの歩みは多くの人々に親しまれ、商用車の代表モデルとしての地位を確立しました。今でも多くの地域においてバネットを基にした現地生産車が存在しており、各地で愛用されています。日産自動車の代表的な車両の一つとして、運転者たちの記憶に残り続けることでしょう。

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