日産・フーガ

日産 フーガ：セドリック／グロリアの後継を担った高級セダンの歴史

日産自動車は、長年にわたり日本市場において高級セダンを販売してきました。その歴史において重要な位置を占めるのが、「セドリック」と「グロリア」です。両車種は長きに渡り人気を博しましたが、2004年、日産はこれらの後継車として新たな高級セダン「フーガ」を市場に投入しました。

フーガの誕生：伝統と革新の融合

40年以上にわたる歴史を持つセドリック／グロリアの後継車種として開発されたフーガは、従来モデルからのイメージ刷新を目的として、車名に「フーガ」を採用しました。型式も従来の「Y34」から「Y50」に変更されました。この変更は、単なるモデルチェンジではなく、日産の高級車戦略における新たな一歩を象徴するものでした。

フーガの開発においては、2003年東京モーターショーで発表されたコンセプトカー「フウガ」のデザインがベースとなりました。洗練されたデザインと先進技術を融合させたフーガは、発売と同時に高い評価を受けました。また、北米市場ではインフィニティブランドの「Mシリーズ」（2014年モデル以降は「Q70」）として販売され、グローバルな展開も図られました。中国市場でも一時的に「フーガ」として販売されましたが、インフィニティブランドの進出後は「Mシリーズ」として販売されるようになりました。

初代フーガ（Y50型）：洗練されたデザインとパワフルなエンジン

2004年10月に発売された初代フーガ（Y50型）は、V6 2.5L、V6 3.5Lエンジンを搭載したモデルが最初にラインナップされました。その後、V8 4.5Lエンジンの搭載モデルも追加されました。トランスミッションには全車5速ATが採用されました。2007年12月にはマイナーチェンジが行われ、エクステリアデザインの変更に加え、エンジンも改良されました。

2代目フーガ（Y51型）：進化した技術と新たな挑戦

2009年11月に発売された2代目フーガ（Y51型）は、初代モデルの成功を基盤に、更なる進化を遂げました。エンジンは2.5Lと3.7LのV6エンジンに加え、ハイブリッドモデルも追加され、環境性能も向上しました。北米仕様車にはV8 5.6Lエンジンが搭載されるなど、市場ニーズに応じたバリエーション展開が行われました。トランスミッションには7速ATが採用されました。

2代目フーガは、シーマやプレジデントの生産終了に伴い、一時的に日産のフラッグシップモデルとしての役割を担うこととなりました。また、三菱自動車へのOEM供給（プラウディア）も行われました。2015年にはビッグマイナーチェンジを実施し、外観デザインの刷新や先進安全装備の追加などが行われました。このマイナーチェンジでは、インフィニティブランドとの連携が強化され、フロントグリルなどにはインフィニティのエンブレムが採用されました。

しかし、その後日産は、インフィニティエンブレムを日産エンブレムに戻し、事実上日産ブランドへ復帰させました。2022年には、日産モータースポーツ＆カスタマイズ株式会社とのコラボレーションモデル「PREMIUM SELECT EDITION」が限定販売されました。

生産終了と今後の展望

セダン市場の低迷を受け、日産は2022年8月31日にフーガの生産を終了しました。長年にわたり高級セダン市場を牽引してきたフーガの生産終了は、日本の自動車業界における大きな出来事でした。今後、日産は電気自動車などの電動化技術に注力していくと発表しています。フーガの歴史は幕を閉じましたが、その遺産は、今後の日産の高級車開発に受け継がれていくことでしょう。

車名の由来

フーガの車名は、音楽用語の「フーガ」と日本語の「風雅」から取られています。「フーガのような調和」と「上品で優美さ」という意味が込められており、優美さとダイナミックさの調和を表現しています。

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