日産・プレセア

プレセア（Presea）

プレセアは、1990年から2000年にかけて日産自動車が製造・販売していた小型乗用車です。この車は、初代および2代目のモデルが存在し、それぞれに特徴あるデザインと機能を備えていました。

初代 R10型（1990年-1995年）

初代プレセアは1990年6月に登場しました。これは、スタンザとローレルスピリットの後継として、B13型サニーの基盤を使って開発されました。そのキャッチフレーズは「絶世のセダンです」や「全身センス」であり、多くの和風テイストを取り入れたマーケティングが展開されました。特に、桐島かれんを起用した印象的なCMやトパーズゴールドのテーマカラーが印象的です。

ボディは4ドアのピラードハードトップであり、搭載されるエンジンは1.5L、1.8L、2.0Lの3種類から選べるようになっています。また、ヘッドランプのインバース形状や、フロントグリルレスのデザイン、ライト点灯時にマリンブルーに発光するメーターが装備されるなど、斬新な仕様が特徴的でした。

当初は日本国内向けのモデルでしたが、1992年には香港やタイなどの右ハンドル地域向けへの販売も開始。これに伴い、日産のコーポレートアイデンティティに従ったエンブレムへの変更や、200km/hの目盛り仕様のメーターも新たに導入されました。生産は座間工場で行われました。

1991年には、スポーツグレードの「ブラックスター」が追加された他、ラグジュアリーグレードの「ポーラスター」も登場しました。翌1992年にはマイナーチェンジが行われ、1.8LエンジンがSR18DE型に変更され、全長が25mm延長されるなどのアップデートが行われました。このように、初代プレセアは多彩なモデル展開と共に進化していきました。

2代目 R11型（1995年-2000年）

1995年1月31日、プレセアはフルモデルチェンジを果たし、2代目R11型として新たに市場に登場しました。生産は村山工場に移管され、B14型サニーを基にした設計が採用されました。特に、リアサスペンションにはマルチリンク・ビーム式の設計が用いられ、性能向上が図られました。

搭載されるエンジンは全てツインカムで、SR20DE型、SR18DE型、GA15DE型の3種が用意されました。しかし、そのデザインは初代ほどの支持を得ることができず、評価は分かれました。特に、全体の丸みを帯びたスタイルや、特異なリアコンビネーションランプ、楕円形のフロントライトのデザインが注目されました。

また、1996年には助手席エアバッグやプレセアスーパーサウンドシステムを標準装備とした特別仕様車も登場しましたが、一部のグレードでは社外ナビ装着時に空調操作が一切できなくなる致命的な欠点がありました。後にこの点は改善され、販売促進に繋がりました。

1997年にはマイナーチェンジが行われ、全車標準装備としてデュアルエアバッグやABSが採用されました。これにより安全性が向上し、再度注目を集めるようになりました。最終的には、2000年8月にブルーバードシルフィに統合される形で販売が終了しました。

車名の由来と特記事項

プレセアという名称は、スペイン語で「宝石」や「かけがえのない特別なもの」を意味します。この名は社内の女性デザイナーによって付けられたもので、各グレード名もこの車名に由来して「Ct.（カラット）」が使われました。また、ボディカラーにもそれぞれ宝石の名前が冠されています。

特筆すべき点として、2代目モデルは捜査用の覆面パトカーや機動隊の連絡車としても使用されたことがあります。初代は国内専用車でしたが、販売不振の影響で東南アジア諸国やオセアニアへの並行輸出も見られるようになりました。

このように、プレセアは日産自動車の魅力ある小型乗用車として、多くの人々に愛されたモデルです。

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