日産・L型エンジン

日産・L型エンジンの概要

日産自動車が開発・製造したL型エンジンは、シンプルでありながら高い信頼性を誇るガソリンエンジンです。1965年に初めて生産され、主にSOHC式動弁機構を採用し、排気量の異なる4気筒及び6気筒のエンジンがラインナップされています。この堅牢な設計は、自動車市場で長期にわたり支持され、さまざまな車種に搭載されてきた原動力となりました。

特徴と設計

L型エンジンは、西洋メーカーが採用するクロスフロー型シリンダーヘッドに対し、日産はカウンターフロー型を採用し続けた点が特徴です。結果的に、この設計は頑丈な鋳鉄製のブロック、カムシャフトの駆動にチェーンを使うことで耐久性を向上させ、ユーザーに求められる信頼性を実現しました。それに伴い、重量感を伴うため、エンジン自体は高回転型とされず、軽快な走行性能は欠いていましたが、扱いやすさや長寿命に関しては優れた特性を見せています。

また、部品共用を重視した完全モジュール設計が導入されたことで、効率的な大量生産が実現しました。これにより、日産車の主力エンジンとなり、広範なユーザーから信頼を得るに至ったのです。

環境規制への対応

1975年以降、自動車排出ガス規制が強化される中で、L型エンジンにも新たな技術が導入されました。特に、酸化触媒やEGR（排ガス再循環）といった装置を取り入れ、排ガス対策NAPSが構成されました。これが出力の低下を招き、ユーザーからの不評もあったものの、その後改善がなされ、環境性能を向上させることができました。

さまざまなバリエーション

L型エンジンは排気量に応じた多様なバリエーションを持ち、主にL13、L14、L16、L18などの4気筒エンジンや、L20、L24、L26、L28の6気筒エンジンが存在し、それぞれに異なる性能特性があります。例えば、2リットルのL20型は、強力な出力を誇り、セドリックやスカイラインなど多くの人気モデルに搭載されました。

加えて、LD型として軽油を使用するディーゼルエンジンも展開され、特にLD20型はその効率性と耐久性から好評を得ました。

レースとチューニングの歴史

L型エンジンは市販車にとどまらず、競技車両においても高いパフォーマンスを発揮し、特にラリー競技では数々の勝利を収めました。特に、LZ20B型エンジンが搭載されたバイオレットは、サファリラリーを制覇したことで、その名は広まりました。さらに、エンジンのブロックが十分な強度を持つため、多数のチューニングパーツが市場に流通し、今日でも人気のカスタム対象となっています。

現代の利用と影響

このようなL型エンジンの特徴から、現代でもそのエンジンを再利用したスポーツカーやカスタムカーが多く見受けられます。特に、排気量を大きくするためのチューニングや、コンペティション用の改造パーツが豊富に存在し、愛好家の間でも積極的に利用されています。このため、L型エンジンは単なる過去の遺産にとどまらず、現在もなお多くのファンを魅了し続けています。

L型エンジンは、その歴史の中で数多くの車両に搭載され、数々の進化と対応を見せてきたことから、自動車技術の発展において重要な役割を果たしました。

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