日産・NXクーペ

NXクーペについて

NXクーペ（エヌエックス・クーペ）は、1990年から1994年まで日産自動車によって生産されたクーペスタイルの小型車です。この車は、7代目（B13型）サニーを基にしており、スタイリッシュなデザインと多機能な仕様を兼ね備えていました。

このモデルは1989年の第28回東京モーターショーで初めて公開され、テレビCMでもCGを駆使した印象的な演出が話題となりました。特に、「タイムマシンかもしれない。」というキャッチコピーは、多くの人々に印象を残しました。

デザインとコンセプト

NXクーペは、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴのデザインインターナショナル（現・NDA）によって設計され、北米市場を主要なターゲットに据えていました。この車は「セクレタリーカー」として位置づけられ、カジュアルで丸みを帯びた外観とオーバル形状のヘッドライトが特徴的です。当時の日本ではセクレタリーカーという概念があまり浸透していなかったにもかかわらず、他のメーカーからも同様の車両が登場していました。

日本国内では1990年1月11日に発売され、サニーRZ-1の後継モデルとして位置付けられました。一方、北米市場ではエクサ（現地名：パルサーNX）の後継となることから、「NX」という名前が付けられました。北米仕様には、大型のTバールーフが設定され、個性的なスタイルが人気となりました。

エンジンと性能

日本国内のグレードは、排気量によってタイプA（1.5L）、タイプB（1.5Lまたは1.6L）、タイプS（1.8L）に分かれました。エンジンはすべて直列4気筒で、GA型1.5L（タイプA/B）、1.6L（タイプB/S）、そしてSR型1.8L（タイプS）から構成されています。このうちのタイプBとタイプSでは、Tバールーフが選択可能です。

北米モデルにはSR型2.0Lエンジンの搭載車も存在し、トランスミッションは5速MTまたは4速ATから選べました。ボディカラーについては、通常の塗装の他に、オプションとしてフッ素樹脂塗装が選べることも特長です。また、ドアの開口部に傘収納スペースがあるなど、ユニークな装備が追加されていました。

マイナーチェンジと市場での位置づけ

1992年1月にはマイナーチェンジが実施され、グレードがタイプA/B（1.5L）とタイプS（1.6Lまたは1.8L）の2種類に整理されました。この際、運転席エアバッグやサイドドアビーム、シートベルト未装着警告などの安全装備が強化され、ボディサイドモールもボディ同色とされました。

日本では、特にスポーツ指向の強いモデルを好む若者層に向けて開発されたため、北米向けに企画された本車は必ずしもニーズに合わず、人気車であったS13シルビアに隠れる形であまり売上を伸ばすことができませんでした。その一方で、アメリカ市場では好調な販売を記録しました。

NXクーペは、後継モデルとしてルキノクーペが登場することになりますが、その独特のデザインとスペックは今もなお多くのファンに愛されています。

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