日産・R381

日産・R381の概要

日産・R381は、1968年に日産自動車によって開発された二座席のレーシングカーです。公式には日本グランプリに向けて設計され、その特性は国際自動車連盟（FIA）のグループ7に準じています。このモデルは、1967年の第4回日本グランプリでの経験に基づき、大排気量のビッグマシンを求める日産ワークスの意向から誕生しました。

開発背景

1967年、日産は次世代のレーシングカーとしてR380を経て、さらにパワーアップしたR381を開発することに決めました。最初に製作された1号車と2号車はプロトタイプとして開発されましたが、すぐに競争力を持つ二座席レーシングカーへの改造が必要とされました。3号車は初めから二座席として設計され、ボディはウィンドシールドが低い形状のロードスターへと変貌しました。この設計変更により、車体の軽量化と直進安定性の向上が実現しました。

シャーシとエンジン

車両の基盤であるシャーシは、鋼管のスペースフレーム構造であり、剛性を確保するために太いパイプが使用されています。サスペンションもワイドタイヤに対応できるよう調整されています。エンジンに関しては、日産初の5リッターV型12気筒エンジンGRX-1型が計画されましたが、開発の遅れから、シボレー製の5.5リッターV型8気筒を代用することになりました。このエンジンは450馬力以上を誇りましたが、トラブルが続出し、潤滑系の設計に大幅な見直しが求められました。

エアロスタビライザーの革新

R381の一際目を引く特徴が、桜井眞一郎によって発明されたエアロスタビライザーです。このリアウィングは、高層型可変ウィングとして設計されており、左右で独立した動きをすることで接地バランスを調整できる機構を持っています。車体がコーナーでロールすると、自動的にウィングが切り替わり、イン側のタイヤに荷重を増加させる仕組みです。この画期的な設計により、R381は「怪鳥」との異名を持つことになりました。

レースでの活躍

R381は1968年の日本GPに出場し、高橋国光や北野元、砂子義一がエントリーしました。予選で1位と2位を獲得し、決勝でも北野が見事に優勝を果たしました。この勝利は日産として初の日本グランプリ制覇を意味し、R38シリーズにとっても重要な成果でした。その後、R381は進化を遂げ、R381-IIとしてGRX-1エンジンを搭載し、さらなる改良が加えられました。

R381-IIの登場とその後

R381-IIは1969年5月にフジスピードカップでデビューし、北野元が優勝しました。また、映画「栄光への5000キロ」の撮影にも用いられました。しかし、可変ウイングの禁止により、R381の後半のレースではパフォーマンスが低下し、予選でトヨタ・7に敗れる結果となります。これがR381の最後のレースとなり、日産のレーシングカーとしての歴史は次世代機種へと引き継がれていきました。

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