トヨタ・7

トヨタ7（トヨタセブン）

トヨタ7は、トヨタ自動車が開発した二座席レーシングカーであり、1968年から1970年にわたって3世代のモデルが存在します。トヨタのワークスチームが使用し、「7」の名称は国際自動車連盟（FIA）の競技車両分類のC部門第7グループによるものです。

背景

トヨタ自動車は、当初量産車のレース（ツーリングカーやGTカー）を重視していたため、本格的なレーシングカーの開発には消極的でした。しかし、1966年から日本グランプリに市販車ベースの2000GTを投入したものの、プリンス・R380やポルシェ・906といった専用車には敵わず、独自のレーシングカー開発が必要とされました。これに応じて、トヨタはレーシングカーとして初めて「トヨタ7」を開発することになりました。

トヨタは多くの市販車プロジェクトを抱えていたため、開発にはヤマハ発動機と共同作業を行います。トヨタの基本構想に基づき、ヤマハが設計と製造を担当し、チーム・トヨタがレース活動を行う体制が整いました。ヤマハはFord GT40を研究用に購入し、1968年の日本グランプリに向けて開発が進められました。

初代トヨタ7（415S）

1968年にデビューした初代は「415S」として知られ、3リットルNAエンジンを搭載しています。このモデルは、短時間で製作できるツインチューブ式のアルミニウム製モノコックシャーシを採用。しかし、走行中の負荷でリベットが緩む問題が発生しました。

エンジンは2,986 ccのV型8気筒を搭載し、当初は2000GT用の直列6気筒を使用。最終的には330 PSを発揮しましたが、重量増加がパフォーマンスに影響を与えました。ボディはロードスター形状で、試行錯誤の結果、さまざまなモディファイが行われました。

2代目トヨタ7（474S）

1969年に登場した474Sは、5リットルエンジンを搭載する2代目モデルです。このモデルでは、問題の多かったモノコックから鋼管スペースフレームに変更され、エンジンはシボレー製エンジンを搭載してテストされました。公称出力は530 PSに達し、1970年の日本グランプリでは良好な成績を残しました。

ボディはロングテールのクーペからショートテールのロードスターへと改造され、空力性能が強化されたことが特徴です。また、リアウィングの使用も注目されました。

3代目トヨタ7ターボ（578A）

1970年に登場した578Aは、トヨタ7シリーズで初のターボエンジンを搭載したモデルです。公称出力は800 PS以上とされ、実際には850馬力を超えるともされています。軽量化を目指して各所にチタンやマグネシウム合金が使用され、特にコクピット後方での剛性強化が施されています。

活動履歴

初年度の1968年には、日本グランプリにも出場し、続けて鈴鹿1000kmのレースで初優勝を果たします。1969年には474Sがデビューし、各種レースでの成果が続きました。しかし、1970年のCan-Amシリーズを目指した中で、ドライバーの事故も影響し、プロジェクトが中断されます。

保存状況

トヨタ7シリーズは、各モデルの製作台数が少なく、初代は14台が製作後廃棄されました。2代目と3代目も、一部が現存し、経過を経てイベントでのデモ走行が行われています。

これにより、トヨタ7はモータースポーツの歴史において重要な役割を果たし続けています。

もう一度検索