日産・VGエンジン

日産VGエンジン概要

日産自動車が製造したVGエンジンは、V型6気筒エンジンとして広く知られています。1983年に初めて登場し、日産のエンジン命名規則に従い「E」を含むタイプが多く見られます。「D」はDOHCを示し、「T」はターボ付き、さらに「TT」はツインターボを表しています。

エンジンの設計は60度のシリンダーバンクを持ち、日産独自のECCS制御が施された電子制御式燃料噴射（EGI）方式を採用しています。このエンジンは、1983年6月に発売されたY30型セドリック・グロリアに初めて搭載されました。その後、VGエンジンは1984年に発表された直列6気筒RB型エンジンと共に、旧型のL型エンジンを徐々に置き換えていきました。

VGエンジンの特徴は、1983年から1994年にかけて続々と登場したさまざまなモデルに反映されています。特にVG30系と思われる後継モデルが1994年に発売され、VGエンジンはその後も進化していきました。1999年には製造が横浜工場から日産工機に移管され、その後2002年に一時製造が中止されましたが、2004年にはLPG専用のVG20Pが再登場し、2007年7月まで生産が続けられました。なお、「VG」の命名は「very good」を意味しており、運転の楽しさと性能向上を目指します。

VGエンジンは、発表当初から排ガス対策技術が取り入れられており、日産の新世代エンジンとしての象徴的存在です。特に「PLASMA（プラズマ）」の愛称がつけられ、競合他社の技術に立ち向かうこととなりました。1980年代後半には、米国のエンジンチューナー企業エレクトラモーティブがVG30系を元に独自のチューニングを施して製造したレース用エンジンが登場し、これらは全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権や米国IMSAシリーズで競技され、特にGTP ZX-TやNPT-90は連続優勝を果たすなど、競技性能も評価されました。

また自動車以外にも、1990年にはスケールド・コンポジッツが製作したエアレース機モデル158 ポンドレーサーにVG30ターボエンジンが2基搭載され、600馬力を発揮するなど、その可能性は自動車の枠を超え広がっています。

当初、VGエンジンを基にしたディーゼルエンジンの開発が検討され、その名残としてSOHCモデルのシリンダーヘッドには1気筒あたり5本のボルトが使用されています。このVGエンジンは、トヨタのJZ、VZエンジンや、ホンダのC型、三菱の6G7型と対抗する形で展開されています。

バリエーション

VG20系

• - VG20E (内径×行程：78.0mm×69.7mm)

- 排気量：1,998cc（SOHC 12バルブ、レギュラーガソリン仕様）
- 参考スペック：96kW(130PS) / 6,000rpm, 172N・m(17.5kg・m) / 4,400rpm
- 主な搭載車両：グロリア・セドリック（Y30）1983年6月-1987年12月

• - VG20ET (SOHC 12バルブ、ターボ)

- 排気量：1,998cc
- 参考スペック：125kW(170PS) / 6,000rpm, 216N・m(22.0kg・m) / 4,000rpm

• - VG20DET (DOHC 24バルブ、ハイフロー式ターボ)

- 排気量：1,998cc
- 参考スペック：136kW(185PS) / 6,800rpm, 216N・m(22.0kg・m) / 4,800rpm

VG30系

• - VG30E (SOHC 12バルブ)

- 排気量：2,960cc
- 参考スペック：132kW(180PS) / 5,200rpm, 260N・m(26.5kg・m) / 4,000rpm

• - VG30DET (DOHC 24バルブ、ハイフロー式ターボ)

- 排気量：2,960cc
- 参考スペック：188kW(255PS) / 6,000rpm, 343N・m(35.0kg・m) / 3,200rpm

VG33系

• - VG33E (SOHC 12バルブ)

- 排気量：3,274cc
- 参考スペック：125kW(170PS) / 4,800rpm, 266N・m(27.1kg・m) / 2,800rpm

• - VG33ER (SOHC 12バルブ、スーパーチャージャー)

- 排気量：3,274cc
- 参考スペック：154kW(210PS) / 4,800rpm, 334N・m(34.1kg・m) / 2,800rpm

このように、VGエンジンは多くの車両に搭載され、様々なバリエーションを持っています。日産の技術革新の象徴として、今でも多くのファンに支持されています。

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