日産自動車座間工場

日産自動車座間工場

かつて神奈川県座間市に存在した日産自動車の主要な生産工場。

概要

日産自動車座間工場は、1965年にその姿を現し、翌1966年から主力車種であるサニーの生産を開始しました。以来、「U」というプラントコードを持つこの工場は、追浜工場や村山工場などと並び、日産の乗用車生産を支える重要な柱の一つとして機能しました。

サニーをはじめとして、その派生モデルであるRZ-1やNXクーペ、さらにプレセア、A31型セフィーロ、そしてライセンス生産によるフォルクスワーゲン・サンタナなど、多岐にわたる車種がこの工場で生み出されました。しかし、日本のバブル経済崩壊に伴う経営合理化の波を受け、座間工場は再構築の対象となり、1995年に30年近い歴史に幕を閉じました。操業期間中にこの工場から出荷された車両の累計台数は、実に約1,024万台に上ります。

工場の広大な跡地は、現在様々な形で利用されています。一部は神奈川日産の販売店であるカレスト座間店となり、また一部は今も日産自動車座間事業所として存続しています。約48万平方メートルの敷地を持つ座間事業所（2010年8月現在）は、自動車の生産を後方から支援するための型や治工具、設備の設計開発・製造、電子機器の生産、さらには電気自動車用リチウムイオンバッテリーの開発・生産などを主たる業務としています。

座間事業所の敷地内には、「日産ヘリテージコレクション」が設けられています。これは予約制での見学が可能で、日産がこれまでに生み出した歴代の市販車、将来の方向性を示すコンセプトカー、そして輝かしい戦績を収めたレーシングカーなどが、可能な限り走行できる状態で大切に保管されています。これらの貴重な車両は、日産自身のイベントや展示会に登場するだけでなく、国内外のモーターショー、歴史的な自動車が集まるイベント、さらには販売会社の新型車発表会や試乗会など、様々な機会に貸し出され、多くの人々の目に触れる機会が設けられています。コレクションの中には、愛好家など個人から寄贈された車両も含まれています。

沿革

座間工場およびその跡地の歴史を振り返ると、以下のような主要な出来事があります。

1964年12月：工場の一部が完成し、操業を開始。
1965年：工場が全面的に完成。
1966年：サニーの生産を開始。
1982年：ローレルスピリット生産開始。
1984年：フォルクスワーゲン・サンタナ（ライセンス生産）の製造を開始。
1988年：セフィーロの生産を開始。
1990年：プレセアおよびNXクーペの生産を開始。同年、日産事業所として初めて累計生産台数1,000万台を達成。
1993年2月：1995年3月をもって工場を閉鎖することが公表される。
1995年：工場が閉鎖される。
1999年：跡地の一部にカレスト座間（現在の神奈川日産カレスト座間店）がオープン。
* 2018年3月：工場跡地に開業したイオンモール座間内に「NISSAN ZAMA INFORMATION CENTER」が開設される。

その他

工場閉鎖後も、かつて最寄りだった小田急江ノ島線南林間駅からのバス路線に「日産」行き（旧「日産座間工場」行き）という名称が名残としてしばらく残されていましたが、イオンモール座間の開業に伴う系統再編により廃止されました。また、2008年には物流施設開発のプロロジスが跡地の一部を取得し、物流倉庫「プロロジスパーク座間I」を建設（2009年5月竣工）。これにより、日産座間事業所の敷地面積はかつての約66万平方メートルから縮小されました。

日産座間工場は、日本の自動車産業の一時代を築いた重要な拠点であり、その歴史は現在の座間事業所やヘリテージコレクションに引き継がれています。

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