日田市歌

日田市歌

日田市歌（ひたしか）は、大分県の日田市において制定された市歌です。この楽曲は、作詞を山口扶美、作曲を松田一二三が手掛けています。1940年12月11日、日田郡の6つの村が合併し、市制が施行されることとなりました。この歴史的な出来事を記念するために、半年後の1941年5月5日に市章と共に市歌が制定されました。大分県内では、日田市歌は1935年に制定された別府市歌に次いで、現在の市町村歌の中でも2番目に古いものとなっています。

日田市歌の制作に関する詳細は、制定された日や歌詞、楽譜、作詞・作曲者の氏名は含まれていますが、具体的な作成経緯に関する記述は『日田市三十年史』や『日田市40年史』には見られません。しかし、市役所の関係者によると、作詞・作曲は公募によって行われたという口伝もあるようです。作曲者の松田は、大分県宇佐市出身のバイオリン奏者で、音楽教育にも力を入れ、1930年には大分市で松田音楽院を設立しています。

日田市歌はさまざまな行事で演奏され、地域の人々の心に親しまれています。特に市政功労者表彰式や成人式、市庁舎での仕事始め式などで歌われています。また、2005年には日田地域の音楽イベントである「音楽大パレード」でも演奏されてきました。2020年には、この市歌をもとにした「日田市歌元気体操」が考案され、地域の活性化にも寄与しています。

日田市への合併が進んだ際に、日田市郡合併協議会に参加していた町や村が市に編入されたことで、日田市歌は全ての地域で使用されるようになりました。合併後も、日田市歌の必要性や新しい愛唱歌の制作に関しては、地域住民から強い要望は見られなかったため、既存の市歌が広く浸透しています。

さらに、日田市に編入された町村（天瀬町、大山町、上津江村、中津江村）の歌についても触れたいと思います。これらの地域では、合併時に公的な町村歌が失効したものの、町民の中には自主的に地域の歌を継承し続けている人々もいます。たとえば、大山町の「町民の歌」は1976年に制定され、町民全体で歌って楽しむことを目的とした作品です。

また、上津江村の歌や前津江村の「星輝く郷」も存在しますが、これらは公式に制定されたものではなく、地域住民の間で親しまれています。特に、前津江村の歌は合併後も文化祭で演奏されるなど、地域の思い出と共に生き続けています。

このように、日田市歌は市の誕生を祝う意味だけでなく、地域の人々の絆や誇りを表現する重要な役割を果たしています。市民が共に歌い、育んできたこの楽曲は、日田市の文化と歴史に深く根付いています。

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