日田郡

日田郡（ひたぐん）とは

日田郡は、かつて大分県（豊後国）に存在した郡です。その領域は、現在の日田市全域と中津市の一部（山国町長尾野）にあたります。この地は古代から歴史が積み重ねられており、その変遷を辿ることで、地域の歴史と文化を深く理解することができます。

古代の日田郡

日田郡の歴史は、奈良時代に編纂された『豊後国風土記』にその名が登場することから、少なくとも天平12年（740年）頃までには成立していたと考えられています。同書には、景行天皇がこの地を訪れた際、久津媛（ひさつひめ）という神が人となって迎え、それが郡名の由来となったという伝承が記されています。

また、平安時代中期の辞書『和名類聚抄』には、日高郡として記述され、「比多」という訓が当てられています。この頃、郡内には安伎、伊美、来縄、田染、津守の5つの郷があったとされています。ただし、これらの郷は國埼郡条にもほぼ同じ名前で登場しており、実際のところ、海部郡条に記されている日田、在田、夜開、曰理、叉連、石井の6郷が日高郡に該当すると推測されています。

近世から近代への変遷

江戸時代末期から明治時代初頭にかけての支配状況は、「旧高旧領取調帳」に詳しく記録されています。この時期、日田郡は2町91村で構成されていました。

1868年（慶応4年）には、幕府領が日田県の管轄となり、1871年（明治4年）の廃[[藩置県]]により、藩領は森県の管轄となりました。同年、第1次府県統合によって、日田郡は全域が大分県の管轄となります。

1875年（明治8年）には、町村の統合が行われ、2町49村となりました。その後、1878年（明治11年）に郡区町村編制法が大分県で施行されたことにより、行政区画としての日田郡が正式に発足しました。郡役所は豆田町に設置されました。

町村制施行以降の変遷

1889年（明治22年）の町村制施行により、日田郡は2町18村となりました。この時、現在の日田市を構成する町村が誕生しました。

* 西有田村、東有田村、三花村、小野村、大鶴村、夜明村、光岡村、朝日村、豆田町、隈町、三芳村、馬原村、五和村、高瀬村、前津江村、中津江村、上津江村、大山村、中川村、五馬村

1891年（明治24年）には郡制が施行され、1901年（明治34年）には豆田町と隈町が合併して日田町が発足しました。1923年（大正12年）に郡会が廃止されましたが、郡役所は存置されました。しかし、1926年（大正15年）には郡役所も廃止され、以降は地域区分名称となりました。

1940年（昭和15年）には、日田町、三芳村、光岡村、高瀬村、朝日村、三花村、西有田村が合併して日田市となり、郡から離脱しました。

郡の消滅とその後

1955年（昭和30年）には、東有田村、小野村、大鶴村、夜明村、五和村が日田市に編入。五馬村、中川村、馬原村が合併して栄村が発足。

1966年（昭和41年）には、栄村が町制を施行し、天瀬町と改称。1969年（昭和44年）には、大山村が町制を施行して大山町となりました。

2005年（平成17年）3月22日、前津江村、中津江村、上津江村、大山町、天瀬町が日田市に編入され、この日をもって日田郡は消滅しました。

行政の変遷

日田郡では、歴代の郡長が行政を担ってきました。また、郡の変遷に伴い、行政組織も変化を遂げてきました。

まとめ

日田郡は、古代から現代に至るまで、その姿を変えながらも歴史を刻んできました。町村の合併や市制施行を経て、現在は日田市の一部となっていますが、その歴史は今もなお、地域の文化や人々の生活に深く根付いています。

この解説を通して、日田郡の歴史、行政区画の変遷、そして各町村の成立と合併について理解を深めていただければ幸いです。

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