日米修好通商条約

日米修好通商条約

日米修好通商条約（にちべいしゅうこうつうしょうじょうやく）は、1858年6月19日に日本とアメリカ合衆国の間で締結された通商協定です。この条約は、江戸幕府によって調印され、アメリカ全権であるタウンゼント・ハリスの名を冠してハリス条約とも呼ばれています。条約の内容は、日本にとって非常に不利なものであり、後に改税約書によって関税自主権を失う原因ともなりました。

概要

この条約は、アメリカ側に領事裁判権を認めることを含み、日本側には関税自主権が与えられていません。具体的には、日本がアメリカに対して最恵国待遇を約束し、その一方で日本に対しては不平等な条件が突きつけられました。条約では、日本の領事裁判権が曖昧になり、江戸時代以来日本における外国人に対する法律がうまく機能しませんでした。これにより、日本は国際取引での権限を大きく制約されることになります。

また、条約に基づく関税は一律に低く固定され、日本からの製品の流出に対して保護手段が乏しい状況を作り出しました。ハリス条約では、輸入税が20%と定められていましたが、この税率が低関税に固定されることにより、国内産業への影響が大きくなりました。特に、日本の経済は依存的なものとなり、その結果、列強の介入を助長することになったのです。

条約の歴史的背景

日米和親[[条約]]によって初代日本総領事に就任したタウンゼント・ハリスは、その後の通商条約の締結に向けて動き出しました。当初、日本側は消極的な姿勢を示しましたが、ハリスは積極的に外交を進め、幕府内の動乱を背景にして交渉を進めることに成功しました。交渉は15回にわたり行われ、最終的に双方が合意に至りました。

交渉において、ハリスはアメリカと親しい関係を築くことで、他国からの侵略の危険を回避する必要性を強調しました。幕府は急速に変わる国際情勢を鑑み、開国の必要性を感じ始め、ようやく条約の締結に至ったのです。最後の調印は、江戸の沖合で行われ、ハリスによる圧力の下で不本意ながらも条約が結ばれました。

条約の条文と内容

条約自体は、全体の内容がアメリカ側に有利に設定されています。例えば、アメリカ側は領事や外交官を任命する権利を持ち、日本はアメリカの軍艦に対して便宜を図ることが求められました。これにより、日本はアメリカの影響下に置かれることとなりました。

条約第6条には、アメリカ人の犯罪についてはアメリカの法律を適用することが定められ、これにより日本の法律の下で裁かれないことが明示されました。この点も、日本の主権を侵害する要因となりました。

経済的影響とその後の展開

条約によって、日本は関税自主権を失い、低関税の状態で貿易を強いられることとなります。その後の改税約書では、関税が5%に設定され、これもまた日本にとって屈辱的な条件でした。日本の国内産業は外資の侵入にさらされ、自国の権益を守る手段が限られた状況となります。

最終的に、日本は外国と対等に貿易を行う権利を失い、身動きが取れなくなっていくのです。また、政治的な混乱や尊攘派の反抗など様々な問題が引き起こされ、幕府の権威は低下していく一方でした。

結論

日米修好通商条約は、日本とアメリカの関係の中で、その後の国際関係の基盤を築く重要な文書でありましたが、同時に日本にとっては不平等な条件が盛り込まれた屈辱的なものでした。この条約の影響は明治維新以降の日本の近代化にも及び、改正交渉や国際的な立場の回復の流れにつながることになります。条約の内容は日本の主権と経済発展に大きな影響を及ぼし、これを打破するための長い道のりが始まったのです。

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